都市部の災害

都市部で大規模な地震が発生した場合の建物倒壊による被害の想定は?

高層ビル、タワーマンション、大型の商業施設などなど。都市部には、憧れるような建物がたくさん立ち並んでいます。ですが、大規模な地震が発生した場合、どのような状況になるか想像したことはありますか?

この記事では、都市部で大規模な地震が発生した場合の「建物の倒壊」に限定して、どのような被害が想定されるかを解説しています。

他にも、具体的にどのようなものに注意を向ければいいのか。オフィス街や繁華街に多数見られる「ビル」に施されている地震対策について詳しく解説しています。

そこに住んでいる方だけでなく、働いている方にも役立つ内容になっているので、今後起こり得る地震に備えて当記事を役立ててください!

出典https://www.photo-ac.com

過去に発生した大規模な地震による被害

過去にも甚大な被害をもたらした地震は数多く発生しています。特に人的被害の多かった大規模な地震を振り返ってみましょう。

発生年月日 地震名 死者数
1923(大正12)年9月 関東大震災 約105000人(不明者数含む)
1995(平成7)年1月 阪神・淡路大震災 6434人
2011(平成23)年3月 東日本大震災 19689人
2016(平成28)年4月 熊本地震 273人

参考:気象庁ホームページ 過去の被害地震より

参考元URL:https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/higai/index.html

上記以外にも、大きな被害をもたらした地震は数多く発生しています。そして、驚いたことに1996年以降「震度4以上」の地震は1999年を除き毎年発生しているのです。まさに地震大国ですね。

今後発生する可能性のある地震による被害の想定

「首都圏直下地震」「南海トラフ地震」の2つが今後発生が予想される大きな地震ではないでしょうか。いずれも日本の各都市部に甚大な被害をもたらすと予想されています。具体的にどのような地震なのか、それぞれ見ていきましょう。

首都圏直下地震

マグニチュード7クラスの地震が、2036年までの間に70%の確率で発生すると言われており、東京都区を震源とした場合、東京都の江東区・江戸川区では震度7、東京・神奈川・千葉・埼玉では震度6強の地震が予想されています。

この地震による被害の想定は、揺れによる家屋の全壊は約175000棟、建物の倒壊による死者数は最大約11000人と試算しています。

参考:内閣府防災情報のページ 首都圏直下地震の被害想定と対策について

参考元URL:http://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h25/74/special_01.html

南海トラフ地震

南海トラフ地震は100~150年間隔で繰り返し発生している地震であり、過去に発生した地震から70年以上経過しています。発生周期に近づいていることから警戒を呼び掛けているんですね。

この地震による家屋の全壊は約135000棟、建物の倒壊による死者数は、約82000人(冬の深夜に発生した場合)を想定しています。

参考:内閣府防災情報のページ 南海トラフ巨大地震の被害想定について

参考元URL:http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/taisaku_wg/pdf/1_sanko2.pdf

都市部では建物の倒壊による被害が想定される

都市部で大規模な地震が発生した場合、予想される人的被害の原因として「火災」が一番に挙げらています。その次が「建物の倒壊」となっているため、地震による建物の倒壊は深刻な問題であることがわかりますね。

とはいえ、あくまでも予想なので個人個人が対策をしっかり練ることにより被害を抑えることができるでしょう。

まずは、地震が発生するとどのような事が起こり得るのか知ることから始めましょう。知ることにより事態を予測しやすくなるので、対策を練ることができますよ!

【ガラスの飛散範囲】地震により建物のガラスが割れたら

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オフィス街や繁華街にはビルが数多く建っています。そこで1つの懸念材料が、ビルの窓ガラスが割れた場合です。ガラスの飛散距離は「建物の高さ÷2」といわれています。例えば、高さ14mにある窓ガラスが割れたとしたら、半径7mにガラスの破片が飛散するということです。

ですが例外もあり、直下型地震の場合には建物の高さと同等の距離までガラス破片が飛散します。この差は大きいですね。

高い場所から落下した先の尖ったガラス片は、アスファルトに突き刺さるほどの威力になります。人体に刺さったら致命的ですね。

ビルには、安全性の高いガラスを取り付けているものです。ですが、絶対に割れないという保証はありません。大規模な地震が発生したら、衝撃に耐えきれずにガラスが割れてしまう可能性があるということは頭の片隅においておきましょう。

【地震による被害】ガラスだけでなく他の落下物にも注意

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街を歩いて上を見上げてみると、様々な物がありますね。大規模な地震が発生した場合には、これらにも注意が必要です。

例えば、看板はあらゆるところで見かけますよね。そして、工事現場が近くにあれば足場に使われているパイプがあります。

建設中のビルがあれば、鉄骨やクレーンが倒壊して落下する可能性もあるでしょう。ガラスだけではなく、頭上にあるものすべてが落下する可能性のあるものだと思ってください。

【意外な落とし穴】地震によるブロック塀の倒壊に注意

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学校や住宅地にはブロック塀を設置している所があります。地震によって倒壊し、下敷きになって亡くなった事故も過去には存在します。

高さが1.6m、長さが1mのブロック塀の重さは320~400kgです。人が支えられる重さではありませんね。

加えて、ブロック塀は高さに対して横幅が狭く、高層ビルよりもスマートな構造になっています。地震の揺れには強くないことがわかりますね。

ですので、地震発生時はブロック塀に近づかないようにしましょう。また、発生後も予期しないタイミングで倒壊する恐れがあるので、特に小さなお子様がいる場合には近づかせないよう注意しましょう。

【建物の倒壊】古い家屋やビルには注意を

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古い建造物は、新しい建造物と比べると耐震性能の点で大きく異なります。その時代の建築基準法により使用する建材の種類や工法が変わっているためですね。

また、経年劣化による建造物の老朽化で、大規模な地震が発生した場合には耐えられずに倒壊するのではないかと危惧されています。

具体的には、建築基準法が大幅に改正された1981年6月1日以前に建築確認の申請をしている建物です。旧耐震基準とも呼ばれています。

ちなみに、1981年6月1日以降に建築確認の申請をしても、施工が完了するまで1~2年ほどかかります。1983年以前に施行が完了したものは、旧耐震基準の可能性が高いので注意しましょう。

現在でも老朽化した住宅やビルが多数存在しているのが実状です。そういった建物に住んでいる方や働いている方は、建物の耐震化や大規模な地震が発生した場合の行動の仕方を考える必要がありますね。

加えて、付近にそのような建物がある場合は倒壊に巻き込まれる可能性があります。避難場所の確保を考えることが大切になります。

ビルに施されている地震対策とは?

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縦に長い建物なので地震に弱そうな印象を受けるビルですが、ちゃんと地震に耐えられるのか疑問に感じますよね。ここでは、ビルに施されている地震対策を紹介していきます。

地震対策に関わる危険性も紹介するので、オフィスビルを利用されている方は地震が発生した時の対策として参考にしてみてください。

旧耐震基準と新耐震基準

2つの違いは建築基準法が大きく改正された1981(昭和56)年以前に建てられたもの(旧耐震基準)か、それ以後に建てられたもの(新耐震基準)かになります。

実際には1981年に申請・着工開始をしても、施行が完了するまでに1年以上かかるので、1983年に施行が完了した建物か?で判断しましょう。

旧耐震基準は、「震度5強程度の地震に耐えうるもの」となっており、震度6を超える大規模な地震の際には耐えきれない可能性があります。

一方、新耐震基準では、「震度5強程度の地震でも建物の機能を維持できる」「震度6強~震度7程度の地震では、建物の機能は失われても、人命に影響を与えるような建物の倒壊は防ぐ」となっています。

旧耐震基準だから必ず倒壊するという訳ではありませんが、新耐震基準と比べると経年劣化・建物の構造上の点から見て、倒壊する可能性は高いと言えます。耐震補強が必要になってきますね。

新耐震基準の建物であっても、大規模な地震で倒壊を防ぐことはできても建物自体が損傷する可能性があります。その後の余震を考えると、1~2日程度の一時的な避難としてはいいかもしれませんが、長期の滞在は危険といえますね。

耐震・制振・免震構造

耐震構造

耐震構造は、柱や梁を大きいものにしたり壁を増設することにより、建物自体をしっかり固定して地震の揺れに抵抗する構造です。揺れを吸収するものがないので、上階になるほど揺れは大きくなり、柱や梁が損傷してしまう特徴があります。

また、建物内の家具や機器類が転倒しやすいので、固定をするといった対策が必要になります。一般的に多い構造ですね。

制振構造

制振構造は、建物内に「ダンパー」と呼ばれる地震の揺れを吸収する装置が取り付けられており、耐震構造と比べて地震による揺れを小さく抑えることができる構造です。

上階になるほど揺れが大きくなるのは変わりませんが、揺れを吸収するため建物自体のダメージを減らせるのが特徴です。高層ビルに多く採用されていますね。

注意点として「ダンパー」は消耗品です。過去に何度も強い地震を経験したのにダンパーの交換や補強をしていない建物は、ダンパーの強度が落ちている可能性があります。そこに大規模な地震がきたら耐えられない可能性がありますね。

免震構造

通常、建物は地面の上に建てるものです。そのため、地面が揺れれば同じ分だけ建物も揺れます。

免震構造は、地面と建物の間に免震装置が設置されていて、地震の際には免震装置が地面の揺れを吸収してくれるので、建物自体の揺れを大幅に軽減してくれる構造です。

建物自体が均等に揺れるので、上階だから揺れが大きくなるということはありません。横揺れに対して高い効果を発揮するのが特徴ですね。比較的新しい大型のビルに採用されているケースが多いです。

横揺れに強い反面、直下型地震に見られる縦揺れには効果を発揮しない欠点があります。また、弱い地震によっては免震機能が働かないといった現象も起こっているようです。歴史の浅い工法なので、実証データが少ないといった不安要素もありますね。

窓ガラス

高層ビルの多くは「倍強度ガラス」が使われているのではないでしょうか。このガラスは、住宅などで一般的に使われている「フロートガラス」と比べて、約2倍もの強度をもっています。

特長として、ガラスが割れた際には大きな破片になりやすいので、窓枠から脱落しにくくなっています。また、ビルによっては飛散防止フィルムを貼り付けている所もありますね。

倍強度ガラスより強度のある「強化ガラス」の使用が避けられるのは、強化ガラスは割れた際に小さな破片になるので、飛散しやすい特徴があるためです。小さな小石でも高層ビルから地上に落下すれば、重大な事故につながるほどの威力になりますからね。

また、「ペアガラス(複層ガラス)」を採用しているビルもあります。ペアガラスは、ガラスとガラスの間に中間層があるガラスです。2重サッシとは違うので注意してくださいね!

ペアガラスの場合、室内側と室外側のガラスが両方割れることはほとんどないとされています。ですので、ガラスの割れによる破片の落下の可能性が低くなるわけですね。

ですが、どんなに優れたガラスであっても建物が歪んでしまえば、重さに耐えきれず割れてしまいます。特に大きな地震が予想される地域ではガラスの破片の飛散には注意が必要ですね。

地震発生時には建物内から出ないことも大切

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都市部で大規模な地震が発生した場合、僕が一番怖いと考えているのは落下物です。高層ビルがあるような場所なら、上層階の窓ガラスが割れて飛散すれば、数十メートルは飛散距離になります。予期せぬ場所からガラスが落下してくることも十分に考えられます。

また、看板や建設工事現場で使用しているパイプや鉄骨が落下してくる可能性もあるでしょう。特に繁華街やオフィス街では路上に安全地帯はないと考えるべきです。

ですので、身を守るには建物内に避難するというのが一番の手だと考えています。その際には、比較的新しいビルや商業施設へ避難するようにしましょう。そういった建物が周辺にないか把握するだけでも地震対策として有効です。

築年数の古い建物への避難は、建物の倒壊の可能性があるためお勧めできません。また、2階建てといった低い建物も、落下物に押しつぶされる可能性を考えるとお勧めできないですね。

地震発生時には地下に逃げるのは得策?

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地下鉄や地下街は地震に強いとされています。「だったら地下に逃げよう!」と考えるかもしれませんが、僕は得策ではないと考えます。

理由は、地下への出入り口が地上からの落下物で塞がれてしまう可能性があるためです。落下物から身を守ることはできますが、脱出できなければ意味がありませんからね。

「じゃあ、他の出入り口から脱出すれば?」とも考えましたが、前の項目で都市部で大規模な地震が発生した時の人的被害の原因の一番が「火災」だと解説しました。

これは地上に限った事ではなく、地下空間でも考えられることです。地下に避難したものの、そこで火災が発生してしまったら逃げ場がありません。つまり、脱出口が少ない地下空間への避難は得策ではないということです。

まとめ

いかがだったでしょうか・ちょっと考え過ぎじゃない?と感じるような所があるかもしれませんが、それだけ都市部には大規模な地震に脆い一面があるのです。

事実、最大震度7を記録した東日本大震災では、建物の倒壊による人的被害は全体の4%ほどです。これは、都市部でみられる高層ビルや商業ビルが立ち並んである地域ではなかったからではないでしょうか。

一方、阪神・淡路大震災では、建物の倒壊による人的被害は全体の80%以上にもなります。この差はとても大きいですね。

現在では耐震技術が進歩してきて、以前よりは地震に強い建物が増えてきていますが、都市部では古い建造物が多数存在しているのが実状です。また、新しい建物だからといって絶対安全という保障はどこにもありません。

都市部に住んでいるからこそ、その地域にあった地震対策が必要になってきます。「想定外の災害」を意識して災害対策をすることが重要ですね。

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また、見積りだけでなくプロからのアドバイスがもらえるメリットがあるので、より確実な耐震化をすることができるでしょう。

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