タワーマンションの歴史は浅く、これから先大規模な災害に見舞われた場合には、どうなるか予想できないのが実状です。
この記事では、タワーマンションに住んでい居る方に向け、災害が発生した場合にタワーマンションではどのような被害が想定されるか解説しています。
他にも、タワーマンションの設備について紹介しているので、あなたの知らない災害への対策が見つかるかもしれませんよ!
タワーマンションに住んでいるからこそ備蓄しておきたいものも紹介しているので、備蓄をする際の参考にしてみてください。
出典:https://www.photo-ac.com
目次
【災害①】地震によるタワーマンションの被害を想定

タワーマンションは地震に強いとされています。そう言われる一番の理由は「免震構造」によるものだからです。
免震構造とは、地面と建物の間に「免震装置」が取り付けられていて、この免震装置が地面の揺れを吸収してくれるため、建物はほとんど揺れない構造のことです。地震に最も強い構造と言われてます!
しかし、地震に強い免震構造であっても欠点はあります。それは、縦揺れの地震では免震装置の効果が期待できないということです。
地震には種類があり、横揺れの大きい「海溝型地震」と縦揺れの大きい「直下型地震」とで分類されます。免震構造は、横揺れには強いのですが、直下型地震にあるような縦揺れには効果が期待できません。
また、免震構造は歴史の新しい建築方法です。規模の大きい直下型地震に対する経験がないため、実際に地震が発生した場合にはどうなるかわからないのが欠点でもあります。
「想定外の災害」により窓ガラスの破損、部分的な建物の倒壊といったことが起こる可能性があるでしょう。
地盤沈下
タワーマンションの基礎部分には地中深くまで杭を打っているから大丈夫!という言葉を聞きます。確かに、固い岩盤まで打ち付けられた杭は建物をしっかり支持してくれるでしょう。
ですが、湾岸部や新しい埋め立て地では、地震による液状化が懸念されています。液状化により地盤沈下が起こり、タワーマンションが傾くという可能性がありますね。
傾いた建物はとても危険で、特に高層の建物だと倒壊の危険があります。また、人間の体は不思議なもので、傾いた場所に数分立っているだけで平衡感覚がおかしくなり、眩暈を起こすものです。
大規模な地震による地盤沈下は想像以上で、僕の住んでいたところでは、東日本大震災で町全体で1m以上の地盤沈下が起きました。いつも車で走っている国道のすぐ脇に海面があるのは異様な光景です。
【災害②】火災によるタワーマンションの被害を想定

「タワーマンションだったら、ほとんどがガスコンロじゃなくIHコンロだから火災の心配はないでしょ。」と感じるかもしれませんが、災害時の火災発生原因の多くはコンロではなく電気によるものです。
具体的には、地震により落下したものが配線ケーブルに直撃し、傷ついた配線ケーブルがショートした際に出る火花に引火する、というものです。
災害直後だけでなく、災害後に電気が復旧した際に発生するスパークや、暖房器具に引火物が覆い被さっていて引火するといった事案も実際に発生しています。
火災で発生した煙は横方向だと毎秒30~80cmと比較的ゆっくりなのですが、上方向となると毎秒3~5mの速度で上昇するものです。超高層のタワーマンションであっても、あっという間に最上階まで煙が到達してしまいますね。
火災による人的被害の一番の原因は、煙を吸い込むことによる一酸化炭素中毒で意識を失った後に炎に巻き込まれるものです。
特に停電時ではエレベーターが使用できなくなるため、火災が発生した場合にどのように避難するかが重要になってきますね。
消火設備の限界
タワーマンションであれば、スプリンクラーや防火扉といった火災対策が施されています。実際、タワーマンションで起こる火災による被害は少なく、火災対策がうまく機能しているといえますね!
とはいえ、これら消火設備は電気で動いています。消火設備には、停電になっても活動できるように予備バッテリーが内蔵されており、停電時でも30分程度は稼働してくれます。
問題はその後で、予備バッテリーの切れた消火設備は稼働ができなくなってしまいます。それからは人の手で消火せざる負えなくなるため、時間差による火災の発生には警戒が必要になってきますね。
【災害③】水害によるタワーマンションの被害を想定

2019年10月に発生した台風19号では、タワーマンションの地下が大雨により水没してしまい、地下にあった電源・非常用電源が故障してしまう事態となりました。
当然、電源が確保できないのでエレベーターの使用はできず、各居住区では停電。下水道も使用できないのでトイレも使えないといった状況に陥りました。
人的被害はなかったものの、タワーマンションで暮らす人にとっては生活がままならない状況に陥ったのは事実です。今回は台風が直撃した地域で起こった事ですが、他にも同じような構造のタワーマンションはあります。
地下に電源設備が集中している所では、水害による停電を警戒しなくてはいけませんね。水害は大雨だけでなく、津波も想定されます。
大規模な地震が発生した場合には、普段津波の心配がないような所でも、数m規模の津波の発生が予想されるため、停電だけでなく外出不可能な事態に陥る可能性があります。
【災害④】台風によるタワーマンションの被害を想定

住んでみてからわかる怖さ。タワーマンションで火災に匹敵する怖さは、地震ではなく「風」だったりします。
強風による揺れは上階になるほど強く、揺れの強さは地震の比ではありません。住居者に恐怖心や不安感を抱かせるほどの揺れになります。
もともと上空にいくほど風は強くなるものですが、建物の構造上、強風に対する対策ができていないのが実状です。
前の項目で紹介した横揺れに強い免震構造でも、強風による揺れには効果を発揮しません。強風で建物が倒壊することはないでしょうが、地震と強風が同時に発生した時には警戒が必要です。
【よくある勘違い】非常用電源は消火設備用

「タワーマンションには非常用電源が設置されているから、停電になっても安心!」と思うかもしれませんが、非常用電源は消火設備に使用されるものなので、各部屋の電力を賄うためのものではありません。
ですので、停電になったとしても各部屋へ電力は供給されないので、電気は使用できないのです。よくある勘違いなので注意しましょう。
ちなみに、この非常用電源はタワーマンションで火災が発生した場合に、消防隊の方が消火活動をするために使われる「非常用エレベーター」の稼働に使われます。
この非常用エレベーターも勘違いされやすいのですが、住居者が避難するためのものではなく、消防隊の方が消火活動をするために使用されるものなので注意しましょう。
災害によりタワーマンションが停電になったら

タワーマンションに住んでいる方にとって、一番困るのは停電ではないでしょうか。建物が無事でも、電気がなければ生活がままならないもの。
例えば、外へ外出しようにもエレベーターが使用できないと階段を使うしかありません。階下に住んでいるのならまだしも、上階に住んでいる方にとっては階段の上り下りは現実的ではないですよね。
また、電気がなければ給水ポンプが動かないため水道が使えなくなってしまいます。建物の排水方法によってはポンプを使用しているため、トイレの使用ができなくなるでしょう。
といっても、停電で水道や料理ができなくなるのはタワーマンションだけでなく、一般住宅でも起こり得ることです。問題は、上階に住んでいる場合に建物に取り残される可能性があるということですね。
大規模な災害になるほど復旧には時間がかかるものです。復旧までの間をどのようにして凌ぐか、あらかじめ決めておくことが重要になります。
例えば、復旧するまでホテルや実家に避難するのも1つの方法です。他にも、災害に向けた備蓄をしておいて、復旧まで備蓄品で凌ぐ方法もあります。
タワーマンションによっては停電時でも給水可能
タワーマンションによっては、低層の共用部で使用される水道は「直結給水方式」を採用している場合があります。
一般的に、タワーマンションの給水方法はポンプを使って上層まで水を汲み上げているので、停電になったらポンプが作動しないため断水となります。
ですが、直結給水方式は水道管へ直接つながっているので、給水にポンプを使用しないため停電時でも給水が可能なのです。
水の圧力だけで給水するので、中層や高層まで水が届かない難点はありますが、停電時でも建物内で給水が可能なのはデメリットを帳消しにするほど助かる設備ですね!
ただし、すべてのタワーマンションで採用されているわけではありません。自分の住んでいる所は給水可能なのか、お住いの管理会社へ相談してみてることを勧めます。
タワーマンションで暮らすからこそ災害に向けた備蓄は必要

前の項目でも解説しましたが、災害によって電気や水道といったライフラインがストップするだけでなく、建物内に取り残されてしまう可能性があります。そういった状況でも、日常に近い生活を送るために備蓄が必要になってきます。
備蓄のメリットは、日常に近い生活が送れるだけでなく、物資の補給をする際の階段の往復をする手間を減らすことができるので、災害時には心強い味方になってくれるでしょう!
ここでは、必ず備蓄しておきたいものを5つ紹介しています。他にも、必要な備蓄品リストでは、実際に被災した経験をもとに「役立ったもの」「これがあれば便利だった」というものを勧めているので、備蓄をする際の参考にしてみてください。
水・食料
生きていく上でなくてはならないものですね。必要な備蓄量は2週間分を目安にすると安心です。
タワーマンションの場合、電気や水道の復旧に時間のかかる可能性があります。建物が大きい分、使用する設備の規模も大きいからですね。そのため、1週間分ではなく2週間分の備蓄をしておけば、復旧が遅れても対応できます。
お米やパスタは、長期保存できるので備蓄に適しています。日常でも消費しやすいので、ローリングストックできる点がオススメのポイントです!
【主婦必見】災害に備えた水と食料の必要な備蓄量や役立つ知識を紹介の記事でも詳しく解説しています。役立つ知識も紹介しているので、チェックしてみてください!
カセットコンロ
カセットコンロは電気やガスが使用できない状況でも、料理や湯沸かしなど様々な場面で活躍してくれます。
特に寒い季節では、レンジやIHコンロが使えなくても温かい食事や飲み物を摂取することができます。お風呂に入れない時には、お湯を沸かして温めたタオルで体を拭いたりと災害時の強い味方になってくれるでしょう。
【必要な備蓄量も】災害時に役立つおすすめのカセットコンロを紹介の記事で必要な備蓄量や取り扱いの注意点を詳しく解説しているのでチェックしてみてください!
ランタン
停電になってしまうと家の中が真っ暗になってしまいます。住み慣れた家でも、明かりがないと移動するのが困難になるものです。
試しに、目をつむって家の中を移動してみてください。想像以上に苦労します。そんな中で活動をするのは、ケガのもとになるので大変危険ですね。
停電時でも光源を確保するため、ランタンを備蓄しておきましょう!ランタンの方が懐中電灯より周囲を照らせて持ち運びが楽なので、当サイトではランタンの備蓄を勧めています。
また、ランタンを吊るしておけば、読書やパソコンの打ち込みといった作業ができる明るさを確保できるのが最大のメリットといえるでしょう。
災害時には懐中電灯よりランタンが有効!おすすめのランタンを紹介の記事でランタンのメリットやオススメの照明器具を紹介しているのでチェックしてみてください!
非常用トイレ
タワーマンションに住んでいるのであれば深刻な問題となります。特に上階に住んでいる方であれば、トイレを利用するたびに階段を往復するのは現実的ではありません。
非常用トイレがあれば、既設されているトイレを利用して、水を使用することなく用を足せることができます。
使い終わったものは燃えるごみとして処理できるので、使用後の処理も簡単なのがメリットですね!匂いを気にするのであれば、防臭袋もセットで用意すると安心です。
また、ウォシュレットがないと落ち着かない方は、単三電池1本で動く携帯ウォシュレットも併せて備蓄しましょう!
災害時における非常用トイレの重要性とは?使い方や備蓄数も解説の記事で、必要な備蓄数や使い方を紹介しているので、非常用トイレを使ったことがない方でも安心して利用できる内容になっているのでチェックしてみてください!
ポータブル電源
停電時でも家電やスマホの充電、パソコンが使用出来たら仕事や家事の面で非常に助かりますよね。ポータブル電源はそんな望みをかなえてくれます。
ポータブル電源の容量によって使用できる家電は限られるのですが、大容量のものを備蓄しておけばテレビや扇風機、こたつといった家電を動かすことができます。
スマホやノートパソコン、モバイルバッテリーへの充電も可能なので、災害時の情報収集に困ることはありません。
ポータブル電源は蓄電池なので充電をする必要があるのですが、停電時でもソーラーパネルがあれば充電することができます。ポータブル電源を備蓄する際は、ソーラーパネルも併せて備蓄しましょう!

【災害時に大活躍!】おすすめの大容量ポータブル電源を紹介の記事では、オススメのポータブル電源を詳しく紹介しているので、どれを選んでいいのかわからない方の手助けになる内容になっていますよ!
【災害時のタワーマンションでの問題】ゴミの処理はどうする?
意外と見落としがちなのがゴミの処理です。普段であれば各階にあるゴミ捨て場へ捨てるのですが、業者がエレベーターを使えるからできることですよね。
では、災害によりエレベーターが使用できなくなったらどうなるでしょう。ゴミの処理に階段を使うのは現実的ではないですよね。ましてや各階ごとに収集なんて不可能です。
最悪の場合はゴミ捨て場の利用が禁止になる可能性があるでしょう。実際、そのようなゴミ問題に悩まされたタワーマンションもあるほどです。
特に夏場は悪臭の原因になるもの。災害時のゴミ捨てはどのようになっているのか、管理会社へ相談するのも大切な事ですね。
災害が発生した時のことを想定して避難経路を確認する

実際に避難階段を使ったことのある方は少ないのではないでしょうか?災害時に階段の上り下りは大変だ・・・。という情報が出回るのは、その時になって初めて使うからです。
面倒くさいと感じても、実際に災害が起こると避難階段を使わなければいけない状況になります。ですので、一度は避難経路を実際に利用してみることを強く勧めます。
ぶっつけ本番で利用してどこから避難したらいいのかわからない!と焦るよりも、利用経験のある方が避難もスムーズにいきますし、利用することにより新しい発見があるかもしれません。
階下へ避難する場合と、屋上へ避難する場合、両方を想定して一度避難経路の確認をすることが被害を少なくするため重要になります。
まとめ
そこに住んでいるからこそ、災害が発生した時にどんなリスクがあるのか知る必要があります。災害対策をするうえで大切な事ですね。
地震・火事・水害・台風それぞれ起こり得る事態は違ってきます。一度は避難経路を実際に確認することが、スムーズに避難するため重要になります。
また、建物に残された時のために備蓄をすることも有効です。特に復旧が遅れる可能性の高いタワーマンションでは、2週間分を目安とした備蓄をすれば安心です。
大規模な災害から身を守るために、できることから対策をしていくことが、被害を減らすことにつながります。
