地震大国といわれる日本。日本で暮らす以上は地震を覚悟する必要があります。そこで大切になってくるのは地震対策なのですが、対策をするうえで重要なのはその出来事を知ることです。
この記事では、地震の種類と特長について解説しています。とはいえ、地震の解説というと専門用語や教科書に出てくるような図解で見る気が失せてしまいがちですよね。
ですので、誰にでもストレスなく見てもらえるように、僕なりに図をアレンジしてみました。正直、会心の出来です。他にも、地震にまつわるちょっとした豆知識を紹介しているので、息抜きもできる内容になっていますよ!
また、過去の地震を振り返ることにより、どのような被害が多かったのか、どの地域で地震が発生しやすいのか知ることができます。
今後、日本では大規模な地震の発生が予想されており、地震に対する対策が推奨されています。災害から身を守るためにどういった対策が必要であるか、当記事を参考にして考えてみましょう!
出典:https://www.photo-ac.com
目次
【地震の種類】海溝型(プレート型)地震の特長
地球上にある10のプレートのうち、なんと日本列島は4つのプレートにまたがっている特殊な地形で成り立っています。この特殊な地形が、地震大国といわれる原因となっているんですね。図で表すとこんな感じです。

- 北米プレート(大陸プレート)
- ユーラシアプレート(大陸プレート)
- 太平洋プレート(海洋プレート)
- フィリピン海プレート(海洋プレート)
日本列島は大陸プレートの上にあり、4つのプレートはお互いぶつかり合っています。このプレート同士のぶつかり合いには特徴があり、大陸プレートと海洋プレートがぶつかった際には、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込むという特徴があるのです。
海洋プレートが沈み込む際に、大陸プレートも一緒に引っ張っていきます。この引っ張りに耐えられなくなり、大陸プレートが跳ね返るように元に戻った時の衝撃が地震となるわけですね。

海溝型地震はマグニチュード8を超える巨大地震になることがあり、大きな津波を引き起こす可能性があります。
マグニチュード9.5という観測史上最大の地震であるチリ地震や、20万人以上の犠牲者をだしたスマトラ沖地震、国内最大の地震である東日本大震災は海溝型地震になります。
海溝型地震の一例
東日本大震災は、北米プレート(大陸プレート)と太平洋プレート(海洋プレート)の境界線である「日本海溝」で起こった地震です。
ちなみに、北米プレートはフィリピン海プレートとも隣接していて、その境界線は相模トラフと呼ばれています。東日本大震災には直接関係ありませんが、この大震災で相模トラフに影響が及んだ可能性もあるでしょう。
今後起こると予想されている南海トラフ地震は、フィリピン海プレート(海洋プレート)とユーラシアプレート(大陸プレート)の境界線である「南海トラフ」「駿河トラフ」で起こるとされています。
南海トラフ地震では、東日本大震災で影響をうけた「相模トラフ」も連動して、地震の範囲や規模が大きくなるのではないかと懸念されています。
ここで解るのは、どちらもプレート間の境界線で発生するということですね。典型的な海溝型地震ではないでしょうか。
海溝型地震の特長 | |
揺れ方 | 小さな揺れのあとに大きな揺れがくる |
揺れの時間 | 数分間と長い |
被害 | 地震による建物の倒壊だけでなく津波が発生する場合も |
その他 | 周期が100年~200年と短い |
【地震の種類】直下型地震の特長
「活断層」と呼ばれる互いにくっついている断層が、ずり動いた時に発生した衝撃による揺れのことを直下型地震、または活断層型地震と呼びます。と、言われても活断層ってピンとこないですよね。まずは、活断層について解説します。
活断層とは

地面は様々な層になっています。土の層や石の層、最後には固い岩の層になっていて、この固い岩の層には多くの割れ目があるのです。
普段はしっかりとくっついているのですが、何かしらの強い力により岩の割れ目が壊れてずれてしまいます。これを断層運動といいます。そして、この層がずれた状態のことを断層と呼んでいるのですね。
数十万年前まで繰り返し活動していた断層のうち、今後も活動する可能性のある断層のことを活断層と呼んでいます。
プレートが大きく関係する
海溝型地震の項目で、プレートのぶつかり合いについて解説しました。実は、大陸プレートの内部には活断層があり、プレート同士のぶつかり合いによって活断層には「引っ張ったり」「押し付け合ったり」する大きな力が加わっています。
この力に耐えきれなくなって壊れた活断層は、ずり動いてしまうんですね。直下型地震は「大陸プレート内で起こる地震」といえば解りやすいでしょう。以下の図は、直下型地震の一例です。

日本には活断層が2000も!
現在までに確認できるもので、日本には2000もの活断層があると言われています。確認できないものを含めると、さらに増えるでしょう。
直下型地震は過去に多数発生しています。ですので、活断層の活動は頻繁に起こるものなのか疑問に思うところですが、1つの活断層の活動間隔は1000年~数万年と非常に長く、直下型地震が頻発しているのは活断層の数が多いためなんですね。
震源が浅いため被害は大きい
海溝型地震と比べてマグニチュードは7ほど、と地震の規模は小さいのですが、震源が浅いため局地的に震度6を超える巨大地震となります。建物の倒壊や火災といった被害が多発し、過去には多くの犠牲者を出しました。
直下型地震はいきなりの大きな縦揺れから始まり、地震の予測が困難なため、避難が間に合わず被害が大きくなりやすいといった特徴があります。
直下型地震の特長 | |
揺れ方 | いきなりの大きな縦揺れ |
揺れの時間 | 数十秒と短い |
被害 | 地震による建物の倒壊・火災の発生 |
その他 |
|
【地震の種類】火山活動による地震の特長
地震にはプレートの移動や活断層の活動だけでなく、火山活動によって起こる地震もあります。火山にはマグマの通る比較的頑丈な道があり、普段は崩れたりすることがありません。
しかし、火山活動が活発になりマグマが上昇してくると、通り道に圧力がかかります。また、マグマの熱で地中の水分が蒸発して水蒸気となることで一気に圧力が加わります。
ヤカンや蒸気機関車を思い浮かべると解りやすいですが、蒸気は物体を動かすことができるほど強い力をもっていて、原子力発電所や火力発電所でも利用されているほどです。
この圧力に耐えられなくなると、マグマの通り道にある岩盤が崩れて、その衝撃が地震となるのです。

2020/03/22 追記:上図ではプレート間の摩擦でマグマができるとありますが、近年では海洋プレートから放出された水により岩盤の融点が下がり、溶けだした岩盤がマグマとなる。というのが一般的です。
火山活動による地震は「群発地震」とよばれるものが多く、同じような震度の地震が頻繁に繰り返されるものです。
また、火山活動による地震には、噴火による衝撃で揺れる地震もあります。火山活動による地震の中では規模の大きな地震になりやすく、過去にはマグニチュード7.1の地震を引き起こした事例があります。火山の噴火による地震は、空振を伴うのが特徴ですね。
マグニチュードと震度の違いってなに?
マグニチュードとは、地震(震源)そのものの強さを示す数値で、震度は地震によって伝わってきた地面の揺れの大きさを示す数値です。
マグニチュードは地震そのものの強さを示す数値なので変わることはありませんが、震度は震源との距離によって変わってくるのが特徴です。震源から近いほど震度は大きく、震源から遠ければ震度は小さくなるわけですね。
ちなみに、マグニチュードが1増えるだけで、地震の強さ(エネルギー)は約32倍違います。2増えれば約1000倍にもなります。地震のエネルギーの強さは凄まじいですね。
また、震度は「0・1・2・3・4・5弱・5強・6弱・6強・7」の10段階で表されており、過去に類を見ないどんなに強力な地震であっても最大で震度7となります。
【番外編】地球上で起こった最大の地震は?
ここでちょっと一息、番外編として地球が誕生してから現在までの間に起こった最大の地震や最大の地震に関する豆知識を紹介します。
注意点として、あくまでも推論なので確実な数値ではないことをご理解ください。興味のない方や急いでいる方は次の項目に飛んでくださいね。それでは、いってみましょう!
地球誕生以来、最大の地震は?
約20憶2300万年前に起きたとされる隕石の衝突の際に発生した地震です。マグニチュードは11.8!日本国内で発生した最大の地震である東日本大震災の約7500倍、広島に投下された原爆の約58億倍ものエネルギーだそうです。まったく想像がつきませんね・・・。
隕石は10~12kmの小惑星で、速度は約20km/s(毎秒20キロメートル)で衝突したと考えられています。
隕石の衝突跡は南アフリカに位置し、フレデフォート・ドームと呼ばれており、現存する隕石の衝突跡の中では世界最大(直径190km)・世界最古なんですね。ちなみに、世界遺産として登録されています。
現在では、隕石の衝突跡の中央にあるドームは直径約50kmですが、衝突時には約300kmもあったそうです。えぐられた地殻は地下約25kmと、威力の凄まじさが伺えますね。
この隕石の衝突は、地球史の3大隕石衝突(3大インパクト)の一つに数えられています。
〇〇が絶滅!地球の生態系を変えた地震
地球が誕生してから、様々な生物が誕生と絶滅を迎えました。絶滅した生物の中で最も有名なのが「恐竜」ではないでしょうか。恐竜が絶滅した原因は完全に解明されていませんが、最も有力な原因の一つに「隕石の衝突」が挙げられます。
この恐竜の絶滅の原因とされる隕石の衝突が、地球誕生以来最大級の地震を発生させました。マグニチュードは11.3です!こちらも、3大インパクトの1つに数えられています。
隕石の規模は10~15kmの小惑星、衝突速度は約20km/sと、先程紹介したフレデフォート・ドームを形成した隕石と遜色ありません。衝突時のエネルギーは、広島に投下された原爆の約10億倍とされていて、この隕石の衝突により生じた津波の高さは300mと推定されています。
衝突跡はメキシコのユカタン半島に位置し、チクシュルーブ・クレーターと呼ばれています。クレーターの直径は約160kmで、確認できるクレーターの中では3番目の規模です。
恐竜の絶滅と聞くと、大量の隕石が衝突したイメージですが、大量の隕石ではなく一個の隕石が原因だったとは驚きです。まさに一撃必殺ですね。
理屈上の最大マグニチュード
12です。長さ1万キロメートルの断層が動いて地球が真っ二つに割れる際に起こる地震とされています。地震のエネルギーはフレデフォール・ドームを形成した隕石衝突の約4.2倍!それでも最大震度は7なのであしからず。
ちなみに、地球上で起こり得る最大の地震はマグニチュード10とされています。東日本大震災の32倍のエネルギーですね。ここまでくると、どれほどの規模の災害になるのか見当がつきません。遭遇しないことを祈るばかりですね。
過去の大地震を種類別に振り返る
ここでは、過去に日本国内で発生した巨大地震を振り返ります。被災した経験のある方、ない方問わず、これから起こり得る災害から身を守るために過去の出来事を振り返ることは大切な事です。
地震のタイプ別にまとめているので、地域によって起こりやすい地震の傾向がわかるでしょう。
海溝型地震 |
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地震名 | 発生年月日 | マグニチュード | 最大震度 | 人的被害 |
明治三陸地震 | 明治29(1896)年 6月15日 | 8.2 | 4~5強 | 死 21959 |
関東大震災 | 大正12(1923)年 9月1日 | 7.9 | 6 | 死・不明 約105000 |
昭和三陸地震 | 昭和8(1933)年 3月3日 | 8.1 | 5 | 死・不明 3036 |
芸予地震 | 平成13年(2001) 3月24日 | 6.7 | 6弱 | 死 2 負 288 |
十勝沖地震 | 平成15年(2003) 9月26日 | 8.0 | 6弱 | 死 1 不明 2 負 849 |
東日本大震災 | 平成23年(2011) 3月11日 | 9.0 | 7 | 死 19689 不明 2563 負 6233 |
直下型地震 |
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地震名 | 発生年月日 | マグニチュード | 最大震度 | 人的被害 |
濃尾地震 | 明治24(1891)年 10月28日 | 8.0 | 6 | 死 7273 |
福井地震 | 昭和23(1948)年 6月28日 | 7.1 | 6 | 死 3769 |
阪神・淡路大震災 | 平成7(1995)年 1月17日 | 7.3 | 7 | 死 6434 不明 3 |
鳥取県西部地震 | 平成12年(2000) 10月6日 | 7.3 | 6強 | 負 182 |
新潟県中越地震 | 平成16年(2004) 10月23日 | 6.8 | 7 | 死 68 負 4805 |
能登半島地震 | 平成19年(2007) 3月25日 | 6.9 | 6強 | 死 1 負 356 |
新潟県中越沖地震 | 平成19年(2007) 7月16日 | 6.8 | 6強 | 死 15 負 2346 |
岩手・宮城内陸地震 | 平成20年(2008) 6月14日 | 7.2 | 6強 | 死 17 不明 6 負 426 |
熊本地震 | 平成28年(2016) 4月14日 | 7.3 | 7 | 死 273 負 2809 |
北海道胆振東部地震 | 平成30年(2018) 9月6日 | 6.7 | 7 | 死 43 負 782 |
参考:気象庁ホームページ 過去の被害地震より
参考元URL:https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/higai/index.html
過去に甚大な被害をもたらした地震を振り返ってみると、海溝型地震の場合はマグニチュード8クラスが多いことがわかります。そして、関東大震災を除く犠牲者の多くは津波によるものが多かったのです。
関東大震災の場合は火災による犠牲者が全体の9割にも上りました。火災旋風と呼ばれる炎の竜巻が東京の町を襲ったのです。また、震災当時は強風だったため、延焼しやすい状況だったことも多くの犠牲をだした原因の1つかもしれませんね。
直下型地震の場合は、マグニチュード7クラスの地震が多いことがわかります。海溝型地震と比べて地震の規模は小さいのですが、最大震度は6以上と揺れの大きいのが特徴です。
犠牲者の多くは、建物の倒壊によるものや火災によるものです。ケースによっては、津波や堤防の決壊による水害が発生した場合もあるので、水害に対する警戒も必要といえるでしょう。
現在予想されている地震の種類
首都圏直下型地震
2036年までの間に70%の確率で発生するとされる、マグニチュード7クラスの直下型地震です。東京が震源と勘違いしやすいですが、東京・神奈川・埼玉・千葉・茨木・山梨と、関東全域が震源となる可能性が有ります。
東京都区を震源とした場合、この地震による被害の想定は「家屋の倒壊・焼失 最大約61万棟」「死者 最大約2.3万人」と内閣府では試算しています。
参考:内閣府防災情報のページ 首都直下地震の被害想定 対策のポイント
参考元URL:http://www.bousai.go.jp/kaigirep/chuobou/jikkoukaigi/03/pdf/1-1.pdf
人的被害の原因として一番多いのが火災で、次いで建物の倒壊によるものと予想されており、被害を激減させるために耐震化が推奨されています。
また、電気・ガス・水道といったライフラインのストップも懸念されていて、復旧には1週間以上を要する可能性があるのです。耐震化だけでなく、災害に向けた備蓄も必要になりますね。
こちらでは東日本大震災で被災した経験をもとに、実際に役に立ったものや「こんなものがあれば良かった」というものをピックアップしています。どんなものを備蓄していいのかわからない方はチェックしてください!

南海トラフ地震
南海トラフ地震は、100年~150年間隔で繰り返し発生している海溝型地震です。過去に発生した地震から70年が経過しているので、警戒を呼び掛けています。
この地震の想定される規模はマグニチュード8クラスとされていて、太平洋側に位置する関東地方から九州地方の広い範囲に渡って震度6弱~震度7の強い地震、そして10mを超える津波が想定されています。
被害は「建物の全壊・焼失 約238万棟」「死者 約32万人」と、甚大な被害が予想されており、人的被害の原因としては津波が一番多く、次いで建物の倒壊となっています。
参考:内閣府防災情報のページ 南海トラフ巨大地震の被害想定について(建物被害・人的被害)
参考元URL:http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/taisaku_wg/pdf/1_sanko2.pdf
大規模な津波の場合、自治体が指定している避難場所にまで到達する恐れがあります。一番確実な避難場所は山の上なので、避難場所・避難経路をあらかじめ決めておくことが重要ですね。
地震への備え

災害は発生した後にも爪痕を残すものです。そのうちの1つが「お金」の問題です。地震や津波により住宅の一部が損壊、または全壊してしまうと、修繕や建て替え、引っ越しを余儀なくされます。
災害の度合いによっては補助金が支給されますが、それだけで賄えるものではありません。住宅ローンが残ったまま建て替えをして、二重ローンとなった事例があるほどです。
そのような状況で助けとなるのが保険ですね。実例を出すと、僕の実家は東日本大震災の際に、津波により全壊しました。住宅ローンが残っていたのですが、地震保険に加入しており、補償金と補助金を併せることで完済することができました。
災害によるお金の問題は深刻なものです。だからこそ、備えをしてない方は保険の在り方を見つめ直してはいかがでしょうか。
地震や津波の被害に適用される保険は?
「地震保険」です。地震や火山の噴火による損害だけでなく、津波による損害も補償してくれるので、地震対策をするなら加入しておきたい保険ですね。火災保険だけでは、地震や津波による損害は補償できないので注意しましょう。
また、保険会社によっては損壊の状況によって補償額や補償内容が変わってくるので、保険の契約をする際には納得のいくまで話し合うことが重要です。
住宅本舗の火災・地震保険一括見積もりサービスなら保険プランナーが居住地域で異なる災害の種類などを考慮し、適切なプランを設計してくれます。
Webのみでの手続きだと、最適なプランを選ぶのに知識が必要なことがあります。保険プランナーと相談しながらプランを選べるのは大きなメリットですね。
まとめ
日本列島は4つのプレートに囲まれた特殊な地形の上にあり、地震は、プレートの移動によるものがほとんどです。
地震のタイプは主に海溝型と直下型にわかれていて、海溝型は地震の規模が大きく、津波を伴う可能性がある地震です。
一方、直下型は地震の規模は小さいのですが、震源から浅い場所で発生するため、大きな揺れになりやすい特徴があります。
近年、大型の地震が発生する可能性が指摘されているので、耐震化や災害に向けた備蓄、保険の見直しといった災害への対策をすることが重要です。
