夕立ちとゲリラ豪雨。近年では夕立ちよりもゲリラ豪雨という言葉をよく耳にしますね。同じ雨なのに夕立ちと言ったりゲリラ豪雨と言ったり・・・、この2つの言葉は同じ意味なのか気になるところです。
この記事では、そんな疑問を解消するために夕立ちとゲリラ豪雨の違いについて解説しています。2つの言葉はどういった場合に使われるか、同じ意味なのかを詳しく解説していますよ!
他にも、2つの言葉が天気予報で使われていない理由を紹介しているので、夕立ちとゲリラ豪雨という言葉を理解できる内容になっています。
また、ちょっとした息抜きに雨にまつわる言葉を紹介しているので、豆知識として読んでみてください!
出典:https://www.photo-ac.com/
目次
【ゲリラ豪雨とは?】夕立ちとどう違うの?

「ゲリラ豪雨」という言葉が使われ始めたのは1970年頃と古く、一般的に広く認知されてきたのは「新語・流行語大賞」のトップ10に選出された2008年ではないでしょうか。
今では突発的な大雨のことをゲリラ豪雨と呼ぶのが一般的になってきていますね。似たような言葉で「夕立ち」がありますが、この2つの違いって何なんでしょう?
時間に関わらず降る
後の項目でも解説しますが、夕立ちは名前にある通り「夕方」に発生するものを指します。つまり、それ以外の時間帯でも発生するものをゲリラ豪雨と呼んでいるのですね。
例えば、正午を過ぎた時間帯に発生した突発的な大雨や、日の沈んだ時間帯に発生した突発的な大雨をゲリラ豪雨と呼んだりします。
災害に発展するような局地的な雨
ゲリラ豪雨は、局地的に数時間続く大雨の事を指します。集中豪雨の一種なんですね。とはいえ、必ず上記のような大雨になることはなく、数十分で降りやむこともあります。
ある日の昼下がりに、いきなり50mmを超える降水量の大雨が1時間以上も続き、駅前が冠水したというニュースを見たことはありませんか?このような災害に発展する様な大雨のことをゲリラ豪雨と呼んでいるわけです。
さて、勘のいい方なら気付くと思いますが、ここまでの説明で矛盾しているのに気づきませんか?例えば、夕方の時間帯に災害に発展する様な大雨が降ったら・・・。夕立?ゲリラ豪雨?
どっちか悩んでしまいますよね。この答えは後の項目で解説します。ちょっとモヤモヤするかもしれませんが、解説を続けますね!
【夕立ちとは?】ゲリラ豪雨とどう違うの?

夕立ちとは、夏場の午後から夕方にかけて降る激しいにわか雨にことを指します。場合によっては雷や突風、雹(ひょう)を伴ったりします。
ゲリラ豪雨と違う点として、数十分で降りやむため、災害に発展するほどの大雨ではないということです。夕立ちで災害となったという事例は聞かないですよね。
ゲリラ豪雨と夕立ちの違いが分かったところで、前の項目の答えを発表しましょう!答えは「どちらでも正解」です。ゲリラ豪雨と呼んでも正解ですし、夕立ちと呼んでも正解です。
「どうして?」と疑問に思いますよね。では、その疑問について次の項目で解説していきましょう。
夕立ちとゲリラ豪雨という言葉は天気予報では使われない!?

ゲリラ豪雨・夕立ちという言葉は気象庁が発表している天気予報では使われていません。理由として、2つの言葉では正確な情報を伝えられないためです。
それもそのはず、ゲリラ豪雨と夕立ちという言葉には明確な定義がないためです。前の項目を見てみると、はっきりした降水量などが書いてありませんよね。
正午から夕方とか、災害に発展するほどの大雨など、曖昧な表現しかしていません。ゲリラ豪雨や夕立ちといった言葉は、人によって受け取り方がバラバラなのです。
ゲリラ豪雨と夕立ちは同じ
結論から言えば、ゲリラ豪雨と夕立ちは同じです。発生のメカニズムも変わりありません。違いがあるとすれば、言葉のイメージですね。
降り始めた瞬間に「数時間続くからゲリラ豪雨だ!」「数十分で降りやむから夕立ちだ!」なんてわからないものです。
降り終わりまでの一連の状況で、ゲリラ豪雨か夕立ちかを言い換えているに過ぎません。明確な定義がされていない現状では、個人のイメージで使い分けるしかないのです。
使い分ける際の参考となるのが、前の項目で解説したゲリラ豪雨と夕立ちの違いという訳です。
【夕立ち・ゲリラ豪雨との関係】にわか雨はまったく違うもの?

まず、にわか雨とはどういうものなのか見ていきましょう。にわか雨とは、ある地域で短時間に突然の降り始めと降りやみが起こる一過性の雨のことを指します。
そのうち、雨量が数時間で100mmを超えるような激しい雨を集中豪雨と呼びます。つまり、ゲリラ豪雨ですね。
また、夏の午後から夕方にかけてにわか雨となりやすく、この雨のことを夕立ちと呼んでいます。にわか雨・ゲリラ豪雨・夕立ち、この3つは同じということが分かりますね。
同じにわか雨でも、激しい雨のこと絵を「ゲリラ豪雨」、夏の午後から夕方に降るものを「夕立ち」と名前を使い分けているわけです。
【豆知識】日本には『雨にまつわる言葉』が400種類以上も!

雨の名前の使い分けは他にもあります。日本には雨にまつわる言葉が400種類以上もあるというのですから驚きです。
現在では耳にすることは少なくなりましたが、どの言葉も風情があっていいものですよ!あまりの種類の多さに同じ意味のものもありますが、気にしたら負けです。
雨にまつわる言葉にはどのようなものがあるのか、いくつか紹介しますね!
- 春雨(はるさめ):春にしとしと降る雨。「花散らしの雨」とも呼ばれる。
- 催花雨(さいかう):花の育成を促す雨。「養花雨(ようかよう)」「育花雨(いきかう)」とも呼ばれる。
- 半夏雨(はんげあめ):夏至から11日目の半夏生(はんげしょう)の日に降る雨。
- 土用雨(どようあめ):夏の土用の頃(7月下旬~8月上旬)に降る大雨。
- 秋雨(あきさめ):秋に降る冷たい雨。夏から秋へ移り変わる頃に現れる秋雨前線。
- 秋微雨(あきついり):秋に降る長雨。「秋入梅」とも書く。
- 時雨(しぐれ):晩秋から冬にかけて降る、あまり強くない降ったり止んだりする雨。
- 鬼洗い(おにあらい):大晦日に降る雨。追儺(ついな)と呼ばれる宮内行事が由来との説がある。
- 狐の嫁入り:太陽が出ているのに降る雨。「天気雨」と同義。
- 私雨(わたくしあめ):他は晴れているのに山の上の限られた地域だけに降る雨。箱根・鈴鹿・比叡・丹波などが有名。
- 虎が雨:陰暦5月28日に降る雨。曽我十郎の忌日とされ、恋人の虎御前の涙が雨となって降るといわれている。
- 洗車雨(せんしゃう):七夕の前日に降る雨。彦星が織姫に会う際に使用する牛車を洗う水といわれている。
- 叢雨(むらさめ):強く降ったり弱く降ったりを繰り返す雨。
ここで紹介した以外にも、まだまだ雨にまつわる言葉はあります。様々な言葉を使うことで、昔の人は雨の情景を愉しんでいたのかもしれませんね。
まとめ
夕立ちとゲリラ豪雨、イメージや言葉を見ると全く違うものと感じてしまいます。ですが、どちらも「にわか雨」なんですね。
にわか雨は、ある地域で短時間に突然の降り始めと降りやみが起こる一過性の雨のことを指します。そのうち、雨量が数時間で100mmを超える激しい雨をゲリラ豪雨、夏の午後から夕方にかけて降るにわか雨を夕立ちと呼びます。
現在、ゲリラ豪雨と夕立ちには明確な定義がされていません。これから先、この2つの言葉に基準が定められれば、天気予報で夕立ちやゲリラ豪雨という言葉が使用されるかもしれませんね。