暖かい季節になるとゲリラ豪雨が発生しやすくなるものです。突然の大雨に慌てた経験のある方は多いことでしょう。このゲリラ豪雨、どのようにして発生するのか気になるところですよね。
この記事では、ゲリラ豪雨が発生する仕組みについて解説しています。どのようにしてゲリラ豪雨が発生するのか、ゲリラ豪雨以外にも発生する可能性のある気象現象を解説しているので、ゲリラ豪雨に関する疑問を解決することができます。
他にも、ゲリラ豪雨が近年増加している理由や、ゲリラ豪雨の対策も紹介しているので、大雨による被害を避けるために役立ててください!
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目次
ゲリラ豪雨ってなに?

ゲリラ豪雨という言葉は1970年代ごろに使用されていましたが、広く普及し始めたのは2000年代に入ってからです。今ではよく耳にしますね。
ですが、正式な気象用語ではないため、気象庁で発表している天気予報ではゲリラ豪雨という言葉は使われていません。
ちなみに、ゲリラ豪雨という言葉は日本国内でのみ使用されているので、海外でゲリラ豪雨と言っても「What!?」と返されて終わりなので注意しましょう。
ゲリラ豪雨・夕立・集中豪雨は同じ
それぞれ全く違うものと感じてしまいがちですが、ゲリラ豪雨・夕立・集中豪雨は同じものです。局地的に短時間の強い雨という点では、どれも一緒ですよね。
そもそも、これらの言葉には1時間当たりの降水量といった明確な定義がないため、個人の間隔で使い分けるしかないのです。
よくある使い分けとしては、夕立は夏の夕方に降る雨。集中豪雨は長時間続く雨。ゲリラ豪雨は災害に発展する可能性のある雨。といった具合ですね。
ゲリラ豪雨の仕組み
局地的に短時間に降る強い雨は、一年を通してみると降りやすい時期があります。それは、6~10月の暖かい時期ですね。
なぜこの時期にゲリラ豪雨が多いのか、ゲリラ豪雨の仕組みを解説していきましょう!
ゲリラ豪雨は積乱雲によるもの

ゲリラ豪雨のような短時間の強い雨は「積乱雲」によってもたらされます。私たちがよく見る雲は横に広がった雲ですが、積乱雲は縦に大きくなる雲です。
「それが大雨と関係あるの?」と不思議に思いますが、大きく関係してきます。通常、雲を形成している水滴や氷の粒はある程度の大きさになると雨となって降ります。
ですが、積乱雲の中では「上昇気流」と呼ばれる、上空に向かって強い風が吹いているため、通常であれば落ちるはずの水滴や氷の粒が落ちずに、さらに大きく成長していくのです。
おまけに、吹き上げる風のせいで雲は上へ上へと大きく成長していきます。そして、大きくなった水滴や氷の粒が、吹き上げる風でも支えきれなくなった時、一気に地上へと降ります。これが、大雨となる仕組みですね。
積乱雲ができる仕組み
積乱雲ができるのには条件が必要です。1つは「暖かく湿った空気」、2つ目は「大気が不安定」、3つ目は「空気の上昇」です。
この3つの条件が揃いやすいのが、6~10月の時期であるため、この時期にはゲリラ豪雨が発生しやすくなります。
太陽の光で地上が暖められると、水蒸気が多く発生します。また、暖かい空気は軽いため、上空へと上っていきます。上空へと上った暖かく湿った空気は、上空の冷たい空気で冷やされ水滴や氷の粒となるのです。
大気が不安定な状態とは、地上の空気が暖かく、上空の空気が冷たい状態のことを指します。
水滴や氷の粒ができる時に「熱」が発生します。この熱により、周りの空気が暖められることで暖かく湿った空気はさらに上昇し、雲は上へ上へと大きくなっていくのです。こうして積乱雲は発生します。
- 地上の気温が上がることで水蒸気が多く発生する(暖かく湿った空気の発生)
- 地上が暖められることで上昇気流が発生(空気の上昇)
- 上空へと上った暖かく湿った空気は、上空の冷たい空気により冷やされ水滴・氷の粒になる(雲が形成される)
- 水滴・氷の粒ができた際に発生する熱により周りの空気が暖められ、暖かく湿った空気はさらに上昇(雲が上へと成長)
- 積乱雲 爆☆誕!
積乱雲については、以下の記事でも図解を使ってわかりやすく解説しています。より深く知りたい方はチェックしてみてください!

積乱雲がもたらす気象現象

積乱雲は大雨をもたらすだけでなく、様々な気象現象を引き起こします。そのため、積乱雲は災害への警戒が必要なものなのです。
具体的には、大雨による洪水・雹(ひょう)・霰(あられ)・雷・突風(ダウンバースト)・竜巻などです。
ゲリラ豪雨ばかりに目がいってしまいがちですが、大雨と同時に上記の気象現象が起こる可能性があります。積乱雲に警戒が必要だというのがわかりますね。
増加するゲリラ豪雨

1974年に気象庁の地域観測システム「アメダス」が運用されてから現在までの「1時間降水量50mm以上の年間発生回数」を見てみると、近年増加傾向にあります。
アメダスによる観測が開始されてからの10年(1976~1985年)と、最近の10年(2010~2019年)の平均値を比べると、約1.4倍も増加しているのです。
1976~1985年は約226回、2010~2019年は約327回
参考:気象庁ホームページ 大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化
参考元URL:https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/extreme/extreme_p.html
この背景には、温暖化が原因の一つではないかと考えられています。アスファルト道路の整備やコンクリートの建物が増えることで熱が溜まりやすく、積乱雲が発生しやすくなっているわけですね。
ちなみに、日中の最高気温が35℃以上となる猛暑日や、日中の最低気温が25℃以上となる熱帯夜の発生回数も増加傾向にあることから、過去と比べて気温の上昇が見られることがわかります。
ゲリラ豪雨に備えて

近年増加傾向にあることから、ゲリラ豪雨に備えた対策が必要になってきます。天気の崩れやすい時期には、天気予報をチェックしましょう!
また、都市部ではアスファルト道路が多いため水捌けが悪く、浸水被害が発生しやすい特徴があります。特に地下空間で活動をしている場合は、浸水被害に遭わないために地上の情報を忘れずに確認しましょう。
山間部付近で活動している場合は土砂災害の発生が予想されるので、いつでも避難できる準備をしておくことが大切です。
河川の氾濫や突風といった災害も予想されるため、気象情報を確認することを忘れないようにしましょう。可能であれば、近くにある丈夫な建物に避難すると安心ですね。
まとめ
ゲリラ豪雨は、積乱雲の発生によって起こるものです。6~10月の暖かい時期には積乱雲が発生しやすいため、ゲリラ豪雨には警戒が必要ですね。
また、積乱雲は大雨だけでなく雹・霰・雷・突風(ダウンバースト)・竜巻などの激しい気象現象を引き起こします。身の危険を感じたら、近くにある丈夫な建物へ避難しましょう。
近年では、気温の上昇によりゲリラ豪雨の発生回数が増えています。暖かい時期には、こまめに天気予報などの気象情報をチェックすることが災害への対策となるでしょう。
