災害時にはストレスが溜まりやすく、不衛生な環境になりがちです。普段病気にかかることのない方であっても、何かのきっかけで病気にかかる可能性があります。
そんな時でも落ち着いて対処ができるように薬の備蓄は必要な事です。この記事では、薬を備蓄しておくことの重要性について、東日本大震災の時の体験談をもとに解説しています。
大規模な災害が起こると、被災地ではどのような状況になるのか解説しているので、備蓄の重要性や被災地の実情を知ることができます。
他にも、災害に備えて揃えておきたい常備薬や、常備薬以外のものを紹介しているので、備蓄をする際の参考にしてみてください。
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目次
災害時に備えて揃えておきたい常備薬

備蓄する薬は大まかに2つに分けられます。一つは市販されている常備薬。もう一つは病院で処方してもらう処方箋医薬品です。ここでは、市販されている常備薬を取り上げます。処方箋医薬品については後ほど取り上げますね。
さて、市販されている常備薬といっても様々です。具体的にどんな常備薬を備えておけばいいのか紹介します。
- 総合かぜ薬
- 解熱薬
- 胃腸薬
この3つは最低でも備蓄しておきましょう。後は、人によって揃えるようにしたいですね。
女性の方であれば「生理痛を緩和する薬」、花粉症の方であれば「目薬・点鼻薬・のどスプレー」、痔の方であれば「座薬や軟膏」といったように、常用している薬を備蓄するようにしましょう。
【災害時の薬不足に備えて】常備薬の備蓄量は?

2週間使い続けれる量が望ましいです。例えば、カプセル錠のかぜ薬であれば
1箱(1週間分)✕2つ=2週間分
といった具合です。軟膏や目薬など量が正確に計測できないものは、一つ余分に備蓄しておけば2週間はもつでしょう。
2週間分とした理由は、家族の誰かが風邪をひいたら1週間分使い切ってしまう可能性があります。その間にもう一人風邪をひいたら薬が足りないですよね。ですので、予備の意味を含めて2週間分が望ましいです。
もう一つの理由は、大規模な災害の場合は1週間で流通は復活しないことから、薬が品薄になる状態は1週間以上続きます。余裕をもって備蓄をしておけば、薬が足りなくなる安心はなくなるからです。
ちなみに、災害時に使用しなかったからといって無駄にはなりません。その後の日常生活で病気になった場合にそのまま使えるからです。
常備薬と併せて備蓄しておきたいもの

津波や洪水などの水害に見舞われた場所では、まともに歩ける場所がないので流れ着いたガレキの上を歩く場合もあるでしょう。
流れ着いたガレキには様々な菌が付着しています。そのガレキがもとでケガをしたら、傷口から菌が入り破傷風になる可能性があります。ですので、外傷を処置するためのものを備えておきましょう。具体的には、
- 消毒薬
- 絆創膏
- ガーゼ
- ハサミ
- ピンセット
- テープ
- 綿棒
といったものを用意しましょう。水害以外にも、地震によって窓ガラスや食器が割れた破片でケガをする可能性があります。上記のものを備蓄しておけば、その場で処置をすることができます。
東日本大震災での薬にまつわる実体験
ここでは、東日本大震災で被災した時の状況を記します。全く同じ状況が起こるとは限りませんが、被災地になるとこんな状況になる例として、災害対策の参考にしてみてください。
まずドラッグストアですが、震災後1週間たったところで営業を再開しました。ですが、商品を買い求める人が殺到しすぎて、10人ずつの入場で買い物時間は15分以内、という制限がつきました。
食品・飲料・紙類・薬類はすべて品切れで、残っているのは髭剃りや衣類、化粧品といった状況です。まともに商品が買えるようになったのは、2週間以上たってからです。
そして病院ですが、震災後1週間の状況では、診察を受けることはできたのですが、処方箋医薬品は手に入らず、震災後2週間たった時点でも十分な量の薬は手に入りませんでした。
薬局には大勢の方が並んでいたので、同じように薬が手に入らない方がいたのでしょう。正直、病院が機能しているとは言えない状況でした。
処方箋が必要な薬は医者に相談してみる

処方箋医薬品を常用している方であれば、余分に薬をもらえるように、かかりつけの医者に相談してみてはいかがでしょうか。
災害が発生すると、病院自体が被災する可能性があります。また、災害により流通が滞るので、病院や薬局で薬が手に入らない事態が起こり得ます。
大きな病院だと、震災後は災害によって負傷した患者の治療を優先するため、診察を受けることすら難しくなるでしょう。実際、病院の駐車場には救助ヘリが、救急搬送口には救急車がひっきりなしに往復している光景を目にしました。
特に、薬がないと命にかかわる場合は大事になりかねないので、きちんと理由を説明して備蓄できるものであれば、余分に薬をもらえるようにかかりつけの医者に相談してみてください。
お薬手帳はいつでも持ち出せるように

東日本大震災や熊本地震の際には、後から処方箋を書いてもらうことを条件に、お薬手帳の提出だけで処方箋医薬品を受け取ることができるケースがありました。
また、普段通っていない病院で診察を受ける際にも、お薬手帳を見せることで薬歴や病状が把握でき、診察がスムーズに行えたとの話があります。
お薬手帳は服用履歴やアレルギーなど、医療関係者に必要な情報を与えてくれるものです。
災害時において、お薬手帳があるのとないのとでは診察状況が大きく変わってくるため、お薬手帳はいつでも持ち出せる場所に保管しておきましょう。
お薬手帳は薬局ごとに分けるのではなく、一冊にまとめましょう。正確な情報を伝えることで、より確実な診断を受けることができます。
まとめ
市販されている常備薬を備蓄するのであれば、ドラッグストアへ行けばいつでも手に入れることができます。ですが、処方箋医薬品の場合はそうはいきません。
災害が起こると薬が満足に手に入らない状況になる可能性があるので、処方箋医薬品を常用している方であれば、余分に薬をもらえるようにかかりつけの医者に相談することも大切です。
また、市販されている常備薬であっても、被災地ではあっという間に品切れになる可能性があります。薬が必要なのに手に入らない、なんてことがないように、日常から常備薬を用意しておくようにしましょう。
