大雨になると天気予報などで「降水量」という言葉を耳にしますよね。しかし、降水量を聞いたところで、実際にはどのくらいの雨量なのかピンとこないものです。
この記事では、そんな疑問を解決するために降水量の目安について解説しています。降水量が私たちに与える影響、大雨警報が発表される降水量の目安を解説しているので、どれほどの大雨で避難すべきか判断をする目安として役立つ内容になっています。
他にも、「〇年に一度の大雨」の基準となる確率降水量とは何なのか?過去の降水量の記録といった降水量にまつわる豆知識も紹介しているので、降水量に関する知識を深めることができますよ!
出典:https://www.photo-ac.com/
目次
降水量って何?
降水量とは読んで字のごとく、上空から地上に降った水(雨)の量のことです。単位はmm(ミリメートル)ですね。降った雨がどこにも流れずに、その場所に溜まった水の深さを表しています。

「水の量ならml(ミリリットル)じゃないの?」と疑問に思う方もいるでしょう。リットル単位で表してしまうと、地域の降水量を表す際に何トンといったようにとんでもない数値になってしまいます。
また、同じ県内でも地域によって面積は変わってくるので、A地区・B地区ともに1トンの雨が降ったとしても面積当たりの降水量が変わってしまうため、どれほどの雨なのかイメージがしにくくなります。
その点、降水量を振った雨の水の深さで表せば、地域の面積の差に左右されないので広い地域の降水量を表すのにうってつけなのです。よく考えられていますね。
降水量の観測

降水量といっても10分・1時間・12時間・24時間と観測する時間は様々です。集中豪雨のような期間の長いものだと、雨の降り始めから降り終わりまでの期間の降水量を観測することもありますね。
また、時間だけでなく1日の降水量を表す「日降水量」というものがあり、日降水量は0:01~24:00までの降水量を表したもので、24時間降水量とは違ってきます。
24時間降水量は任意の時間帯で観測するものなので、観測開始の時間が正午だとすれば、次の日の正午までの降水量となります。ちょっとややこしいですが、これにはちゃんと理由があるのです。
日をまたぐ雨になると、日降水量では正確な降水量を伝えることができません。24:00までの降水量となるからですね。24時間降水量であれば日付を気にする必要がないので、正確な降水量を伝えることができるのです。
降水量による影響の目安
ここでは、一般的に用いられる「1時間降水量」の多さによって、私たちの生活にどのような影響を与えるかの目安を紹介します。
1時間降水量 (mm) |
予報用語 | 人の受けるイメージ | 人への影響 |
10以上~ 20未満 |
やや強い雨 | ザーザーと降る | 地面からの跳ね返りで足元が濡れる |
20以上~ 30未満 |
強い雨 | どしゃぶり | 傘をさしていても濡れる |
30以上~ 50未満 |
激しい雨 | バケツをひっくり返したように降る | |
50以上~ 80未満 |
非常に激しい雨 | 滝のように降る(ゴーゴーと降り続く) | 傘は全く役に立たなくなる |
80以上~ | 猛烈な雨 | 息苦しくなる様な圧迫感を感じる。恐怖を感じる |
参考:気象庁ホームページ 雨の強さと降り方
参考元URL:https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/amehyo.html
ゲリラ豪雨と呼んでいるのは、1時間降水量が50mmを超えるような大雨が短時間に降るものとされています。ただし、ゲリラ豪雨という言葉は気象用語ではないため、明確な定義がありません。あくまでも目安で。
警報が発表される降水量の目安

ここが一番重要ですね。どれくらいの降水量になると警報や注意報が発表されるのでしょうか。避難を開始する際の目安となるので覚えておくと役立ちますよ!
大雨注意報:1時間降水量が20~40mm
大雨警報:1時間降水量が40~60mm
地域によって変わってきますが、上記が警報・注意報の発表の目安となります。1時間降水量が50mmを超えたあたりから警戒が必要になってきますね。
特に、車の運転をしている場合は前方の視界不良による追突事故が起こりやすくなります。ワイパーが機能しないほどの視界不良になった際には、車間距離をあけて運転しましょう。
また、高速走行中にはタイヤと路面の間に水が入り込むことにより、車が水の上を滑るようになりブレーキやハンドルがきかなくなる「ハイドロプレーニング現象」が起こる可能性があります。大雨の際の車の運転には十分注意しましょう!
「〇年に一度の大雨」確率降水量とは?

毎年のように発生している「〇年に一度の大雨」。「〇年の割には毎年発生してるじゃん」とツッコミを入れたくなる気持ちはわかりますが、グッとこらえましょう。
実は、この「〇年に一度」というのは適当に発表しているわけではありません。地域ごとに過去のデータや地形を考慮し、統計学的に算出したものです。
例えば、東京都であれば日降水量が260mmを超える雨は50年に一度の確率で降るとされています。ただし、あくまでも確率なので50年以内に数度発生したり、50年間に一度も発生しないことだってあり得るのです。
このような、ある期間に1回起こると考えられる降水量のことを「確率降水量」と呼びます。毎年のように「〇年に一度の大雨」が発生しているということは、それだけ異常気象が続いているということなので警戒しなければいけませんね。
確率降水量の数値は地域で異なる
地域によって地形や気温は異なるため降水量は変わってきます。ですので同じ降水量でも、ある地域では「〇年に一度の大雨」と発表されても、別の地域では「〇年に一度の大雨」とはならないのです。
確率降水量が毎年のように発生している原因の一つでもあるわけですね。全国的に見れば、あらゆる地域で発生する可能性があるからです。
ここで、いくつかの地域の確率降水量を見ていきましょう。雨の降りやすいところと降りにくいところでは全く違う点に注目してみてください。ちなみに、確率降水量は「日降水量」で表しています。
地点 | 30年(mm) | 50年(mm) | 100年(mm) | 200年(mm) |
札幌 | 139 | 151 | 167 | 183 |
石巻 | 143 | 154 | 170 | 185 |
東京 | 239 | 260 | 289 | 310 |
長野 | 102 | 110 | 121 | 132 |
名古屋 | 216 | 242 | 280 | 323 |
大坂 | 160 | 173 | 190 | 207 |
福岡 | 226 | 245 | 271 | 297 |
名瀬 (奄美大島) |
422 | 460 | 511 | 562 |
那覇 | 330 | 359 | 399 | 438 |
参考:気象庁ホームページ 異常気象リスクマップ
参考元URL:https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/riskmap/qt_table.html
青字が全国で一番確率降水量が低い地域で、赤文字が全国で一番確率降水量が高い地域です。同じ国内でもこれだけ違うのですから驚きですね。
過去の降水量の記録
ここでは、記録上1位となった降水量を紹介します。国内はもちろんのこと、世界の1位も気になるところです。過去にはどれほどの大雨が発生したのか見ていきましょう!
日本の最多降水量 | |||
年月日 | 地点 | 降水量 | |
10分間降水量 | 2011年7月26日 | 新潟県阿賀町 | 50mm |
1時間降水量 | 1982年7月23日 | 長崎県長与町 | 187mm |
日降水量 | 2004年8月1日 | 徳島県那賀町 | 1317mm |
世界の最多降水量 | |||
年月日 | 地点 | 降水量 | |
1分間降水量 | 1970年11月26日 | フランス グアドループ島 | 38mm |
42分間降水量 | 1947年6月22日 | アメリカ ホルト | 305mm |
24時間降水量 | 1966年1月7~8日 | フランス レユニオン島 | 1825mm |
なんというか、レベルが違いますね・・・。日本の記録もそうですが、世界もまた凄まじいです。
特に1分間降水量は体験したくないですね。1㎡の面積に1分間で38Lもの雨が降るとなると想像がつきません。同じ勢いで1時間も降り続けたら未曽有の災害が発生してしまうでしょう。自然の力は恐ろしいですね。
大雨に遭遇した時には

高く丈夫な建物に避難するようにしましょう。雨から身を守れるだけでなく、浸水等の災害が発生しても高い場所なら安全です。
地下鉄や地下街といった地下空間にいる場合には、地上へと避難しましょう。地下空間が浸水してしまうと避難するのが困難となってしまうからです。
とはいえ、地下にいると地上の状況はわからないものですよね。ですので、地下で活動をする際には地上の気象情報をチェックすることを忘れないようにしましょう。
少しでも不安に感じたら避難を開始することが大切です。早めの避難を心掛けましょう!
まとめ
降った雨がどこにも流れずに、その場所に溜まった水の深さを表したものが降水量です。観測する時間は10分間・1時間・24時間と様々ですが、一般的に使われているのは1時間降水量ですね。
1時間降水量が50mmを超えてくると、地域によって大雨注警報が発表されるところがでてきます。また、傘をさしても役に立たないといったように、私たちの生活に影響を与えてくるので、このあたりを避難を開始する目安としたいですね。
降水量は地域によって変わるため、同じ降水量でも警報が発表されない程度だったり、「〇年に一度の大雨」となることがあります。
近年では大雨による被害が多発しており、降水量の少ない地域であっても異常気象により大雨となる可能性は十分にあります。降水量の少ない地域でも、大雨による災害に警戒しなくてはいけませんね。
