災害による停電・断水でお風呂に入れなくなってしまったら、体の汚れはどうやって落としますか?
この記事では、そのような状況でも体を清潔に保つことのできる、オススメの衛生用品5点を紹介しています。
災害の規模によっては、1ヶ月以上もライフラインがストップしてしまうことがあります。そのため、長期間満足にお風呂に入ることができない。災害時は不衛生になりやすいとされる原因の一つですね。
不衛生になることで、私たちの体にどのような悪影響を与えるのかも解説しているので、衛生用品を備蓄しておくことの重要性が理解できる内容になっています。
出典https://www.photo-ac.com
目次
【お風呂に入れないとどうなる?】衛生用品の重要性
過去の地震による大災害を振り返ると、いずれも電気・ガス・水道といったライフラインがストップしていました。復旧は状況によって変わりますが、長い場合では1か月以上かかったケースがあります。
僕が東日本大震災で被災した地域では、1ヶ月近く断水が続きました。その間は、満足に体を洗うことができなかったので、不衛生な状況だったわけですね。実際、かなりのストレスでした。
不衛生になると体の抵抗力が弱まり、風邪や感染症などの病気にかかりやすくなります。特に女性の方であれば、過度なストレスは生理不順や生理痛につながるため、精神的にも肉体的にもよくありません。
災害時であっても、清潔を保てれば健康を維持できます。ですので、水を使わなくても体の汚れを落とすことのできる衛生用品が必要になるわけです。
お風呂に入れない時のための衛生用品『ドライシャンプー』

頭を洗わないと皮脂がたまり、髪がべたついたり臭いやフケの原因となります。また、頭皮が不衛生になるためニキビができたり炎症を起こす可能性があります。
ドライシャンプーは災害により水が使えない状況でも頭皮の汚れを落とすことができます。
使い方は簡単。髪をかき上げて頭皮や髪にスプレーします。その後、軽くマッサージをしてタオルなどで拭きとるだけです。
必要な備蓄量
1人あたり1本備蓄すれば十分です。1日1回の使用したとして、髪の長い女性が使用したとしても、1本あれば一週間はもちます。
実際に使用した感想
入浴前に使用してみました。思ったより髪が濡れないのでちゃんと汚れが落ちてるのかな?と不安になります。寝ぐせ直しの効果はないでしょう。
ですが、さっぱりとした感じはあります。髪のべたつきもなくなったので汚れは落ちているのですね。匂いも爽やかなのでリラックスできます。
マッサージ後の拭きとりですが、タオルを使用すると洗濯をしなければなりません。水が使えない状況で洗濯物を増やすのは得策ではないので、この後紹介する「からだふきタオル」で頭を拭けば洗い物がなくなるので有効かなと感じました。
水で洗い流すシャンプーよりは汚れを落とす効果が低いので、一週間や数日洗わないで一気に汚れを落とそうとしても汚れは落ちないでしょう。毎日ちゃんと汚れを落とすのが一番です。
お風呂に入れない時のための衛生用品『からだふきタオル』

災害が発生してライフラインがストップするとお風呂に入ることができなくなってしまいます。そんな状況で体の汚れを落とすためには、濡れたタオルなどで体を拭くしかありません。
ですが、ライフラインがストップしているのでタオルを濡らす事すらままなりません。もしタオルで拭くことができたとしても、洗濯物が増えてしまうのが悩みです。
そこで、ウェットタイプのからだふきタオルをオススメします。サイズの小さいなものだと背中を拭くのが困難なので、超大判サイズのものを選びました。
使い捨てなので洗濯物が増えることがないですし、弱酸性・ノンアルコール・無香料なので、乳児に使用できるのもポイントです。お尻ふきにも使えますよ!
必要な備蓄量
1パック30枚入りなので、一回に2枚使用したとしても15回分使用できます。1人あたり1パック備蓄すれば、汗を拭きとるために使用する機会の増える夏場でも、1週間はもつでしょう。
実際に使用した感想
入浴前に使用しました。一番気になる背中を拭けるか?を最初に試しました。結果は拭くことはできますが、ギリギリです。ですが、伸縮性があるので伸ばして使えば楽に拭くことができます。
前の項目で紹介した、水のいらないシャンプーを拭きとってみましたが、問題なく拭きとれました。使い捨てで洗濯物にならないので、セットで使用するのがオススメです。
顔を拭いたりと全身に使えるのはいいですね。ですが、1枚では全身を拭くのに足りないと感じました。全身を拭くのであれば、2枚は必要になります。
拭いた直後はウェットタイプなのでしっとりとしますが、1分もしないうちにサラサラになります。生地が柔らかいので、肌に優しいのも嬉しいポイントです。
お風呂に入れない時のための衛生用品『歯磨きシート』

歯は物を食べたり、力を入れるのに歯を食いしばったりと重要な役割をもっています。だからこそ、災害時であってもしっかりケアしたいですね。
歯磨きシートは、水を使わずに歯の汚れを落とすことができます。うがい不要なのは水の節約になるので地味に嬉しいですね。
とはいえ、歯の隙間の汚れを落とすのには向いていないので、ブラッシングをした後に歯磨きシートで仕上げることをオススメします。
必要な備蓄量
1パック15枚入りです。1日2枚使用したとして、1週間はもつので1人あたり1パック備蓄すれば十分でしょう。歯ブラシ1本も併せて備蓄しておくと安心ですね!
実際に使用した感想
ブラッシングしただけの状態と比べると、口の中がサッパリして気持ちがいいです。
歯磨きシートに記載されている使用方法だと、指に巻き付けてとあります。試してみたのですが、指がベチャベチャになります。歯の隙間を拭くことができないのも不便ですね。
ということで、歯ブラシに縛り付けてみました。ちゃんと縛り付けないとブラッシングをしている時に、歯ブラシシートが外れてしまうので、しっかり縛り付けましょう。
歯の隙間や奥までシートが届くので磨いている感じがします。こちらの方がいいのでは?
ただし、歯ブラシに縛る時と外すときにはやっぱり指が濡れてしまいます。指に巻き付けるよりはベチャベチャにはならないので、歯ブラシに縛る方法がオススメですね。
お風呂に入れない時のための衛生用品『マスク』

不衛生な環境で体の抵抗力が落ちているときだからこそ、感染症には気を遣いたいものです。備蓄用だから安くて枚数のあるマスクでいいや、と思ってしまいがちですが、むしろ日常で使用するマスクより気を遣うべきです。
地震や津波、洪水のあとはガレキが散乱します。特に津波や洪水は、様々なものを飲み込んでいるのでガレキや漂着物にはいろんな菌が付着しているものです。
濡れている状態なら空気中に舞うことはないのですが、乾いてしまうと菌の付着した粉塵となるので、吸引すると体には悪影響ですね。家屋が倒壊していればアスベストが含まれている可能性だってあります。
だからこそ災害時に使用するマスクには、国の定めた検定に合格した「防塵マスク」の使用を強く勧めます。
一般的に市販されてる家庭用マスクと防塵マスクの違いは?
国の定めた検定に合格しているか、していないかです。これは大きな違いで、検定に合格しているマスクは防塵性能に関して「ちゃんとした性能を発揮していますよ」と、お墨付きをもらっているのです。
検定に合格していなければ、いくら「埃や花粉を通しませんよ」と記載されていても、その性能を証明するものがありません。防塵性能に関して信用性が低いということですね。
どんなマスクを選べばいいの?
「DS2」以上の規格のものを選びましょう。「DS2ってナニソレ??」と思いますよね。安心してください、ちゃんとわかりやすく解説します。
- D・・・使い捨てマスク(フィルター交換式はR)
- S・・・個体の粉塵から守る(液体はL)
- 2・・・95%以上の粒子をシャットダウン!(1は80%以上、3は99.9%以上)
と、このようになっています。つまりDS2という規格は、「95%以上の個体の粒子を通さない使い捨ての防塵マスク」ということになります。
とはいえ、防塵マスクには様々な種類があります。どれを選べばいいのかわからない方のために、上記の規格を満たしているマスクを紹介します。
こちらの防塵マスクの規格は「DS2」なので上記の条件を満たしています。メーカーは「スコッチブライト」や「粘着テープ」などの凄まじい商品でおなじみの3M(スリーエム)なので安心して紹介できます。
また、3Mでは災害時のマスクの必要な備蓄量は2週間分を推奨しています。このマスクの使用時間は16時間なので、1日1枚使用したとして1人あたり1箱(20枚)で2週間使用できます。1人1箱と目安がわかりやすいのもオススメのポイントです。
どんなに高性能な防塵マスクであっても使い捨てのタイプのものはアスベストが大量に舞い散る屋内での作業には適していないので注意してくださいね!
また、マスクは感染症のリスクを低減させるためのものです。完全に防ぐものではないので、マスクを過信しすぎないようにしましょう。
そもそもアスベストって何?
アスベストが体に悪いとは聞きますが、具体的にどんな悪影響を及ぼすのか?アスベストとは何なのか?どんなところで使われているのか?わからない人は多いでしょう。
アスベストとは、天然にできた鉱物繊維で「石綿(せきめん)」とも呼ばれています。主に住宅の屋根・外壁・断熱材や高層ビルなどに使われていました。現在では健康被害を考慮して使用が禁止されていますが、1970~1990年代には約30万トンものアスベストが使われていました。
アスベストが恐ろしいのは粉塵を吸い込んだ時で、治療が不可能で呼吸困難になる「じん肺」・「肺がん」・肺周辺の臓器にできる悪性の腫瘍「中皮腫」などの病気になる可能性があります。発病するまで違和感がないのと、発病までに10年以上かかるのも厄介なところです。
現在でもアスベストが使用されている建物はたくさんあります。それらが災害により倒壊したら大量のアスベストが舞ってしまうでしょう。ですので、災害時に使用するマスクには気を遣いたいものですね。
お風呂に入れない時のための衛生用品『替えの下着』

災害により停電や断水になってしまうと洗濯機が使用できなくなります。もちろん、コインランドリーも使用できません。とはいえ、着替えをしないと汚れが溜まる一方なので不衛生です。
洗濯機が使用できなければ手洗いとなりますが、水は貴重なものなので簡単に使用することはできません。ですので、洗濯をなるべくしないように替えの下着を備蓄しておきましょう。1週間分あれば十分です。
着替える回数は増えますが、洗濯をする回数は減らせます。洗濯物がたまってからまとめて洗うようにしましょう。
その洗濯ですが、浴槽を利用してまとめて洗うと楽です。その際、洗剤は使わないようにしましょう。洗剤を洗い流すために、水を使う量が増えてしまうからです。
まとめ
災害により電気・水道・ガスがストップしてしまうと、入浴することができなくなります。その結果、不衛生になり体の抵抗力が弱まることで、病気にかかりやすくなる可能性が高まります。
今回紹介した『ドライシャンプー』『からだふきタオル』『歯磨きシート』は水を使うことなく体の汚れを落とすことができるので、体を清潔に保つことができるでしょう。
他にも、『替えの下着』を一週間分備蓄しておけば、体を清潔に保つだけでなく洗濯をする回数を減らすことができるので、水の節約になります。
また、ガレキや土砂からでる粉塵には様々な菌が付着しているので、粉塵を吸い込まないよう『マスク』の備蓄を忘れないようにしましょう。
不衛生になりやすい災害時だからこそ、体を清潔に保って健康を維持する必要があります。家族全員の健康を守るため、災害に備えて水を必要としない衛生用品を備蓄しましょう。
