スコールと聞くと「雨」を連想する方は多いのではないでしょうか。実は、スコールとは雨のことではないのです。
この記事では、そんな勘違いしやすいスコールとはどんな気象現象なのかを詳しく解説しています。
他にも、スコールが発生する仕組みや、国内でスコールが発生する地域を紹介しているので、スコールに関する疑問を解消することができる内容になっています。
もちろん対処法も紹介しているので、旅行先などでスコールに遭遇した際に備えて当記事を役立ててください!
出典:https://www.photo-ac.com/
スコールってどんな天気?

スコールと聞くとジャングルで突発的に降る大雨というイメージがありませんか?ジャングルはさておき「スコール=雨」と思っている方は多いはずです。
実は、スコールとは雨ではなく風のことを指します。気象用語としても「毎秒8m以上の風速増加を伴い、最大風速が11m/秒以上で1分以上継続するもの」と定義されているんですね。
急激な風速の増加がスコールなのですが、同時に強い雨を伴うことがあります。このため、スコール=雨というイメージが定着したのでしょうね。
ちなみに、風速10m/秒の強さは風に向かって歩きにくくなる強さです。傘をさそうものなら「バフンッ!」と裏返ってしまいます。それ以上の風が突発的に発生するのですから恐ろしいですね。
スコールが発生する仕組み
突発的な強風を引き起こすスコール、どのようにして発生するのでしょうか。その秘密は下降気流にあります。
下降気流って何?と疑問に思いますよね。下降気流とは、地上に向かって一直線に向かって吹く風のことです。

空気は暖かいほど軽く、冷たいほど重いという特徴があります。上空の空気が冷やされることにより下降気流は強くなり、上空から強く落ちてきた風は地上で拡散されて強風となるのです。
上空の空気が冷やされる原因の一つに雨があります。雲を形成している水滴や氷の粒が落下する際、下降気流の勢いを増す働きをするためですね。強い風を引き起こすには雨も関係してくるということです。
スコールが発生する条件
暖かい気候と豊富な水です。まさにジャングルが当てはまりますね。ジャングルのような熱帯雨林と呼ばれる場所ではなぜスコールが発生するのでしょうか。
まず、雲はどうしてできることから始めましょう。雲は地上で発生した暖かく湿った風、つまり水蒸気を含んだ空気が上昇し、上空で冷やされることにより水滴や氷の粒となったものが集まったものです。

暖かい風は軽いため上昇しやすく、気温が高いほど地上では水蒸気が多く発生します。そして、水蒸気は水がなければ発生しませんよね。
気温が高く、水が豊富な場所では雲が形成されやすいということです。前の項目でも解説しましたが、雲ができることで雨が降りやすく、また下降気流も発生しやすくなります。熱帯雨林では雲ができやすい状況にあることから、スコールが発生するわけですね。
日本ではスコールは発生するの?

熱帯雨林と聞くと日本とは馴染みがないように感じますが、日本でも熱帯雨林気候となる場所は存在しています。日本の最南端、沖縄県ですね。
沖縄県でも、さらに南に位置する宮古島や石垣島などの島々は熱帯雨林気候としてスコールが発生します。赤道に近いことから温暖な気候というだけでなく、島であるため周囲には水が豊富にあることからスコールが発生する条件が整っているわけです。
ちなみに、日本の他の地域ではスコールの発生の条件となる豊富な水がないため発生することは難しいでしょう。ただし、スコールに似た現象で「ダウンバースト」という現象であれば発生します。
ダウンバーストは積乱雲から発生する強い下降気流のことで、突風を引き起こします。時には災害となることもあるので、発生には十分注意したいですね。
スコールに遭遇した場合の対処

屋内への避難です!といっても、スコールが発生する様な場所は都市部から離れていることが多いため、屋内への避難が難しいことが多いはずです。
また、スコールによる激しい雨のため、傘をさしたところで強風により傘が役に立たないことが考えられます。むしろ風に煽られ危険となるので、傘をささずに近くにある軒下などへ避難するようにしましょう。
スコールは長時間続くものではありません。雨よりも激しい風に注意して避難するようにしたいですね。
熱帯雨林気候となる地域は、主に赤道付近に集中しています。旅行でその地域を訪れる際には、天気の急激な変化には十分注意してくださいね!地元の方の行動を参考にするのも効果的です。
まとめ
日本ではあまり馴染みのないため、スコール=雨という認識が一般的です。ですが、スコールとは「急速な風速の増加」のことを指す気象用語なんですね。
スコールが発生するのに必要な条件は「暖かな気候」と「豊富な水」の2つで、熱帯雨林気候と呼ばれる地域が当てはまります。日本では沖縄県の南方の島が当てはまりますね。
熱帯雨林気候は赤道付近の地域でみられる気候なので、旅行などで訪れる際にはスコールの発生に注意したいものです。
近年では温暖化により気温の上昇がみられます。今まではスコールが発生しなかった地域でも、これから先スコールが発生する時代が来るかもしれませんね。
