都市部の災害

【地下空間】地下街や地下鉄での災害による被害の想定と対策を紹介

地下街でショッピングを楽しむ、地下鉄に乗って目的地まで、こういったことが出来るのは都市部ならではです。便利な反面、地下空間特有のリスクがあります。

この記事では、災害が発生した時に地下街や地下鉄で起こり得る被害を紹介しています。他にも、災害に対する各運営会社の取り組みや、災害に見舞われた際の対処法を紹介しているので、いざという時に役立つ内容になっています。

地下街や地下鉄での災害は過去に発生しています。現在でも十分起こり得ることなので、日常で利用する機会の多い方は、当記事を参考に災害対策をしてみてはいかがでしょうか。

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地下街や地下鉄は地震に強い

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一見すると地震に弱く、崩落が起きて生き埋めになるんじゃないか?と思わせる地下街や地下鉄ですが、実は、地震に対して強いという性質を持っています。これは、地震で揺れた時に地下が地面と同じ方向に動くためです。

一方、地上にある建物は、地面とは逆の方向に力が働くため、高ければ高いほど揺れが大きくなります。慣性の力ですね。

試しに鉛筆かお箸でもいいので、片方の先端をつまんで上下に揺らしてみてください。つまんでない方の先端が大きく揺れるはずです。つまんだ側が地面で、つまんでない方の先端が建物の最上階、と思えばわかりやすいのではないでしょうか。

また、地震による地下街や地下鉄の崩落事故が現在までないところを見ると、地震に強いという裏付けではないでしょうか。

地下街や地下鉄は地震に強いとはいえ警戒を忘れずに

公式な発表では、日本で初めての旅客船の地下鉄は1927年に開通した現在の「東京メトロ銀座線」とされています。地下鉄の歴史は約90年ということになりますね。

地下街に関しても1930年に現在の「東京メトロ上野駅」で開業したのが元祖とされているので、歴史としては地下鉄と変わりません。

現在まで地震による崩落はないのですが、歴史が浅いので絶対安全というにはいかないものです。これから先、都市部で経験のない大規模な地震が発生することもあるかもしれません。

老朽化した箇所が原因で崩落する可能性も考えられます。対策を講じているとはいえ、地下空間は蟻の巣のようなものです。想定外の事態を予測して、いつでも避難できるように警戒しておくことが大切ですね。

災害時における地下街や地下鉄の弱点

地震に強いと言われる地下街や地下鉄ですが、弱点もあります。それは、火災と水害です。

地下にある建造物なので予想はできることなのですが、火災で発生した煙や洪水や津波によって侵入した水は逃げ場がありません。 何かしらの対策はしているはずですが、地下にある以上火災や水害に弱いのは仕方のない事です。

次の項目からは、実際に災害が起こった場合、どのような被害が想定されるか解説していきます。災害時の対応も紹介するので、災害対策の知識として活用してください!

【被害の想定】災害により地下街や地下鉄で火災が起きたら

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一番懸念されるのが地震による火災で発生した煙による被害です。火災による死亡原因の多くは、火災により発生した煙を吸い込み、意識不明になった後に炎に巻き込まれるというものです。

過去、日本では静岡県で、海外では韓国、イギリスで犠牲者の出る火災が地下空間で発生しました。

地下ならではの状況というものがあるので、地下街や地下鉄をよく利用する方は、災害時の対策を考えておくことが大切です。

どうして煙を吸い込むことが危険なの?

火災による煙の中で一番多く含まれているものは一酸化炭素です。一酸化炭素中毒という言葉を聞いたことはありませんか?

冬場に石油ストーブを使用している方は一酸化炭素中毒になる可能性があるので、1時間ごとに換気をしてください、というやつです。練炭も同様ですね。

一酸化炭素は、空気中にたった1%の割合の状態で呼吸した場合、1~3分ほどで死亡してしまうほどの有毒物質です。

火災により発生した煙を吸い込むということは、毒ガスを吸い込んでいるのと同じだということですね。

火災で発生する煙の移動速度

煙は横方向だと毎秒30cm~80cmで移動するとされています。頑張れば逃げ切れる速度なのですが、上方向となると毎秒3m~5mと、人間では追いつけない速度で上昇します。

地下の深いところで火災が発生した場合、階段を一つ登りきる頃には煙は地上まで到達しているでしょう。つまり、そこから先は煙が充満しているということです。さらに上の階まで登らなくてはならないことを考えると、絶望してしまいますね。

少しでも煙を吸い込まないために

煙は上へ上へと登っていきます。ですので、低い姿勢で避難をすることにより、煙に巻き込まれにくくなります。煙を吸い込まないよう、ハンカチ等で口と鼻を覆うことも忘れないようにしましょう!

防毒マスクを常に持ち歩くのは現実的ではありませんよね。防塵マスクであればガスに関しては完全に防ぐことはできませんが、煙に含まれる細かな粒子を防ぐことはできるでしょう。

こちらは、厚生労働省が定める国家検定に合格している防塵マスクなので、市販されているマスクと違い、ウィルスや粒子状物質(PM2.5)を吸い込む可能性を減らすことのできる性能を持っています。

折り畳んであるのでコンパクトであり使い捨てタイプなので、非常用として携帯できるマスクです。当サイトで勧めている備蓄品リストの中にも含まれているので、地震に備えた災害対策の備蓄としても有効ですよ!

マスクの性能については、「災害でお風呂に入れない時のために備蓄したい衛生用品」の記事で詳しく解説しているのでチェックしてみてください。

熱がこもる

火災による怖さは煙だけではありません。熱も人間にダメージを与えてきます。地下なので熱はこもりやすく、場合によっては「炉」のような状態になる可能性があります。

大規模な火災になるほど熱量は強くなり、その熱風を全身に浴びればひとたまりもありません。加えて、煙も熱を帯びているので吸い込んだ場合は、気管や肺が火傷を負うこともあるでしょう。

災害により地下街や地下鉄で火災が起きた場合の対策

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地下街の場合

地下街には60m間隔で出口があります。パニックにならず、係員の誘導に従って避難するようにしましょう。ポイントは、壁際に身を寄せ、姿勢を低くしながら移動することです。

火災が発生した場合、煙や停電により視界が悪くなるものです。壁際に身を寄せることにより、非常口誘導灯を確認しやすくなります。

ちなみに、非常口誘導灯はバッテリーが内蔵されているため、停電になっても点灯させることができるので安心してください!

また、地下施設には排煙装置やスプリンクラー、防火シャッター等が設置されており、停電に備えて非常用電源が動作するよう対策を講じています。慌てず、落ち着いて行動することが大切です。

地下街に行く機会があれば、60m間隔にある非常口を気にしてみてください。非常口の場所がわかる、それだけでも災害対策になりますよ!

地下鉄の場合

電車には不燃性の素材が使用されているので、火災による火の延焼が起らないよう対策がされています。そして、電車の最前部と最後部には緊急避難用の扉が設置されています。乗務員の指示に従って避難するようにしましょう。

地下鉄の場合、ホームから地上までの避難経路が一箇所しかないところでは、避難経路を二箇所に増設したり、排煙設備の強化、防火シャッターの設置、停電に備えた非常用電源等の対策がされています。

また、消防との協力のもと、火災発生時の避難訓練を実施するなど、想定外の事態の対策を講じています。

利用者全員がパニックになり、自分が先にと階段に人が殺到した場合、二次被害として将棋倒しになる可能性があります。落ち着いて誘導に従うことが大切ですね。

電車内で火災が発生した場合

電車内で火災が発生した場合は、火災の発生した車両から離れるようにしましょう。車両間は扉で仕切られているので煙が入り込む可能性が低くなっています。また、各車両には消火器が設置されているので、小規模な火災の際には消火器で消火することもできます。

消火器以外にもインターホンが設置されているので、安全な車両からインターホンを通じて火災が発生したことを知らせましょう。

火災時の電車はどこで止まる?

火災が発生した場合、走行中の電車はできる限り最寄りの駅まで走行します。これは、電車の走るトンネル内には避難口がなく、トンネル内で停車した際には歩いて最寄りの駅まで歩く必要があるためです。

ホームまでたどり着けば地上に出ることができるので、可能な限り最寄りの駅まで走行するということなんですね。

間違っても勝手に電車を降りてトンネル内を歩き回らないようにしましょう。路線によっては、線路に沿って高圧電流が流れている場所があります。感電の危険があるので、乗務員の指示に従って避難するように心がけましょう。

地下街や地下鉄で水害による被害の想定

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火災と並んで深刻な被害がでると予想されているのが「水害」です。具体的には、地震発生直後に訪れる津波による浸水です。

津波は早いところで地震が発生して30分以内には到達します。これは、東日本大震災で実際に経験しました。逃げるまでの時間が圧倒的に少ないのが津波なんですね。

日本の大都市は海に近い

日本の大都市といえば、札幌・仙台・東京・横浜・名古屋・京都・大阪・神戸・福岡といったところでしょうか。いずれも海に面しているのに気が付いたでしょうか。

先程紹介した都市では、いずれも大地震による津波の被害を想定しています。つまり、津波が押し寄せる可能性があるということですね。

では、押し寄せた津波が地下街や地下鉄に浸水した場合、どのような事態が想定されるのでしょうか。

階段を上れずに流される

津波は30cmの高さで歩くことが困難になります。50cmを超えると人が流される可能性がでてきて、100cmを超えると立つことが困難になるのです。

津波に怖いところは水流の勢いだけでなく、様々な物を押し流すことです。漂流物に当たってケガをするだけならいいのですが、最悪の場合は命にかかわります。

例えば、地下鉄の出入り口から津波が浸水してきたら、出入り口から階段を上って避難している人を津波が襲います。階段を上っていた人は津波によって足をすくわれ、階段から落下する可能性があるでしょう。

大きな津波が浸水してきたら、確実に流されます。流された際に壁や駅に設置してあるものに勢いよく体を叩きつけられるでしょう。

非常扉が開かずに閉じ込められる

地下街で想定されることが多いのではないでしょうか。浸水して溜まった水により大きな水圧で非常口のドアを開けることができなくなる可能性があります。

そうなると、完全に閉じ込められた状態になりますね。地下には排水設備の一つとして「排水ポンプ」が設置されています。

正常に作動すれば水は排水されるのですが、過去には利用者が残したゴミが原因で排水ポンプが作動せず、地下鉄が浸水したケースがあります。想定外の事態ということもありえるということですね。

ちなみに、ドアとの水位差が26cm以上で外開きのドアが水圧で空かなくなり、46cm以上になると水圧によってドアの留め具が押し付けられるために、内開きのドアであっても開けることができなくなります。

電源設備が使用不可能

地下街や地下鉄では、停電になった際に非常用電源に切り替わります。そのため、照明が点かない事態を避ける対策をしているのですが、浸水によって電源設備が水に浸かってしまったら、非常用電源も使用できなくなってしまいます。

これは、タワーマンションでも起こった状況ですね。地下なので地上からの光は期待できません。完全な暗闇になってしまいます。

地下にいる人は暗闇によりパニックになり、避難しようと人を押し倒す等の被害が増える可能性があります。

大雨による地下鉄や地下街への被害の想定

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平成11年には、福岡県で豪雨によるオフィス街の冠水のため、ビルの地下1階にいた飲食店の店員が逃げ遅れて死亡した痛ましい事件が発生しています。

また、近年では日本各地で異常気象による記録的な大雨が発生しやすくなっている事から、大雨による被害も想定しなくてはいけません。

台風の接近は事前に察知できるので対処しやすいのですが、ゲリラ豪雨といった突発的な大雨は予想できないものです。それに伴う河川の氾濫にも注意が必要ですね。

特に地下空間で働いている方にとっては、地上の様子はわからないもの、必然的に逃げ遅れる可能性が高くなります。ですので、常に地上の様子がわかるような物、例えばラジオやテレビ等の設置をするだけでも災害対策になるでしょう。

地下街や地下鉄で水害が起きた場合の対策

入り口で浸水をシャットアウト

地下街や地下鉄では、浸水を防ぐために入り口を嵩上げしたり、止水板の設置ができるようになっています。場所によっては防水扉を設置している所もあります。

地下鉄の入り口を気にしてみてください。入り口が階段の様に高くなっていれば嵩上げされているということです。また、入り口の壁を見ると、止水板を差し込むための溝があるはずです。このような対策で、入り口からの浸水を防ぐわけですね。

換気口からの浸水をシャットアウト

地下には換気口というものが設置されています。日常の換気だけでなく、火災発生時には煙を逃がす役割を果たす大事な設備です。

ですが、場所によっては路上に換気口があるところがあります。街を歩いていて、地面に何枚も鉄格子が並んでいるのを見かけたことはありませんか?その上を歩くと生暖かい風が吹き上げてきます。地下鉄の換気口ですね。

ちょっとまった!地面と同じ高さなら大雨が降れば地下に一気に流れ込むんじゃない?と感じるでしょう。安心してください、換気口にも対策はしてあります。

換気口の中には、水の侵入を防ぐための「浸水防止機」があります。浸水の被害が想定される場合に「遠隔」「センサー」「手動」の3つの方法で浸水防止機が閉まり浸水を防ぎます。

他にも、地上より高い位置に換気口の出口を設けることで、浸水の可能性をなくす取り組みをしている場所があります。

トンネル内への浸水をシャットアウト

浸水は大雨や津波だけで起こるものではありません。例えば、大規模な地震により河川の下にある地下鉄のトンネルが崩落する可能性があります。その場合、トンネル内の一定の区画で浸水を止めるために「防水ゲート」といものが設置されています。

簡単に言えば、トンネル内を完全に塞いでしまう扉のことですね。大雨等による浸水にも有効で、隣接する駅への浸水を防ぐのにも使用されます。

電車の走行中に浸水してきても、乗客を安全に避難されるための工夫がされているんですね。

被害を減らすためにできる利用者の取り組み

上記で紹介してきた対策を施していても、完全に被害を食い止めることはできません。過去を振り返ってみると、浸水や火災による被害は発生しているからです。

そして、異常気象により大雨が発生しやすい現在だからこそ、今まで以上に警戒しなくてはいけません。

地下街や地下鉄の運営会社が対策してるから関係ないではなく、想定外の事態を見越して利用する側も対策をしなくてはいけません。自分の命を守ることにもつながりますからね。

具体的な取り組みとして、避難経路を確認する、地下で活動する場合は地上の情報を確認する、ゴミのポイ捨てはしないなどが挙げられます。

地下にいると地上の様子がわからないので避難が遅れがちになります。情報を得ることにより、早めの避難を心掛けることが大切ですね。

まとめ

地下空間は都市部ならではの空間です。災害に対して強い面もありますが、弱点もあることを忘れないようにしましょう。

地下街や地下鉄で火災が発生した場合は、「煙」と「熱」に注意しましょう。地下街では60m間隔で出口があります。口と鼻をハンカチ等で覆い、低姿勢で壁際を移動することを忘れないようにしましょう。

浸水の場合は、早めの情報収集が重要になります。地下で活動する場合は、地上の情報を常にチェックできるようにしておきたいですね。早めの避難が大切です!

災害対策って面倒くさいなぁ、と感じるかもしれませんが、今まで知らなかったことを知るだけでも立派な災害対策になります。知識がないと、どう動けばいいのかさえわからないですからね。日常で利用するものだからこそ、災害対策をしておけば安心できます。

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