火山大国である日本。日本には111もの活火山があるのはご存知でしたか?あなたの住んでいる地域にも活火山があるかもしれません。だからこそ、対策を練るために火山災害に対する知識が必要になってきます。
この記事では、過去に発生した火山災害を紹介しています。我が国で起きた火山災害を主に紹介しているので、これから先、実際に起こり得る災害となる可能性があるでしょう。
現在に近いものから現在から離れたものまで、その時代によって被害の様相が変わってきています。
当記事では、過去の火山災害を知ることで、対策を練るための情報を得ることができる内容になっています。自分自身や家族を守るために役立ててもらえると幸いです。
出典:https://www.photo-ac.com
目次
- 1 【過去に発生した火山の噴火①】2014年 御嶽山
- 2 【過去に発生した火山の噴火②】1991年 雲仙普賢岳
- 3 【過去に発生した火山の噴火③】1902年 伊豆鳥島
- 4 【過去に発生した火山の噴火④】1792年 雲仙普賢岳
- 5 【過去に発生した火山の噴火⑤】1707年 富士山
- 6 【過去に発生した火山の噴火⑥】1815年 タンボラ山
- 7 【過去に発生した火山の噴火⑦】1991年 ピナトゥボ山
- 8 【過去に発生した火山の噴火⑧】1883年 クラカタウ
- 9 【地球史上最大の火山の噴火】オントンジャワ海台
- 10 【スーパーボルケーノ】イエローストーンの超巨大噴火
- 11 【過去から学ぶ】火山の噴火に備えた対策を
- 12 まとめ
【過去に発生した火山の噴火①】2014年 御嶽山

2014年9月27日に発生した火山噴火です。長野県と岐阜県の県境に位置する御嶽山で、噴火警戒レベル1の段階で噴火したこともあり、火口付近の逃げ遅れた登山者ら58名が死亡・行方不明者5名となる戦後最悪の火山災害となりました。
当時は紅葉のシーズンであり、噴火が土曜日の正午という時間帯であったため、観光のため火口付近には登山客が大勢いました。時期や時間帯が犠牲者を増やした要因でもありますね。
犠牲者の多くは噴石の直撃であったとされています。噴火後1分もしないで噴石は降り注いできたため、噴火に気付いて避難しても手遅れだったことを考えると、噴石の威力の恐ろしさがわかります。
当時は登山客に情報が行き届いていなかったといいますが、噴火レベル1だったことを考えると、仮に掲示板等で情報が発信されても「警戒してください」の一点で終わりだったでしょう。
それだけの情報で入山をやめる方は何人いたことでしょう?ほとんどが入山をやめないはずです。突発的な火山の噴火の怖いところですね。
【過去に発生した火山の噴火②】1991年 雲仙普賢岳

長崎県に位置する雲仙岳で発生した噴火です。噴火自体は1990年11月に始まっており、その後1991年2月・4月・5月と徐々に噴火の勢いは増していきました。
特に大きな人的被害をもたらしたのは、1991年6月3日に発生した大火砕流です。大火砕流により、43名の死者・行方不明者3名をだす惨事となりました。この惨事の背景には、火砕流に対する認識不足と、災害への慣れがあったのではないでしょうか。
当時、報道メディアは避難勧告地域内にもかかわらず、雲仙普賢岳で発生している火砕流の様子を撮るため「定点」と呼ばれる、雲仙普賢岳が真正面から見える撮影に適したスポットに集まっていたそうです。
それまでは、小規模の火砕流しか発生していなかったため、「ここまで火砕流が来るはずがない」「火砕流がそこまで怖いものではない」という認識があったため、その後の大火砕流が「定点」にまで到達した際には避難が間に合わず、多数のメディア関係者が犠牲となりました。
認識不足は地域住民にもあり、避難勧告が出されているのにもかかわらず、自宅に戻って農作業や家事をする人が多かったそうです。
大火砕流発生時には、梅雨の影響で土石流が心配されていたこと、地域外でイベントがあった事が重なって、避難勧告地域内には住民がほとんどいなかったのが不幸中の幸いとされています。それでも、農作業中だった住民4名が犠牲となりました。
【過去に発生した火山の噴火③】1902年 伊豆鳥島

伊豆諸島に位置する、直径約2.7km、面積約4.8㎢の小さな島です。かつては乱獲されて絶滅に瀕していた特別天然記念物「アホウドリ」の生息地として有名ですね。
現在では島自体が天然記念物・鳥獣保護区として一般人の立ち入りは禁止されていますが、アホウドリの捕獲が禁止される1933年までは、捕獲のために人が往来していました。
そんな伊豆鳥島ですが、過去には幾度となく噴火を繰り返している活火山でもあります。近いものでは1998年、2002年に噴火が確認されています。
1902年8月には強い爆発的噴火が起こり、当時島に住んでいた125名全員が犠牲となりました。
【過去に発生した火山の噴火④】1792年 雲仙普賢岳

「島原大変肥後迷惑」と呼ばれる日本で最大の被害をもたらした火山災害です。火山性地震と山体崩壊、それに起因する津波という3つの災害が被害の要因となります。
1792年2月、雲仙普賢岳で噴火が始まり落石や地割れが各所で発生しました。また、大量の溶岩や火砕流が襲ってきたとされています。それに伴い、火山活動による群発地震も同時に起こっていたとされています。
1792年5月、群発地震は収まったとされた矢先、強い揺れが島原(現在の長崎県)を襲い、雲仙岳を構成する山の1つ「眉山」が山体崩壊を引き起こしました。
山体崩壊により、3億4000万立方メートルもの土砂が有明海へと一気に流れ込みました。山体崩壊の原因については、現在でも解明されていません。
3億4000万立方メートル=東京ドーム約274個分
大量の土砂が一気に流れ込んだことにより、その衝撃で島原側に6~9m、肥後側(現在の熊本県)に4~5mの津波が押し寄せたとされています。
肥後を襲った津波は返し波となり、再び島原を襲いました。つまり、島原には2度も津波が押し寄せたということです。ここまでくると呪われているとしか言いようがありませんね・・・。
この津波により島原で約10000人、熊本で約5000人にものぼり、災害による犠牲者・行方不明者は約15000人と日本最大の火山災害となりました。
山体崩壊で発生した大量の土砂は丘や小さな島を作りだし、現在では「九十九島(つくもじま)」として観光スポットになっています。同じ長崎県の佐世保市にも「九十九島(くじゅうくしま)」がありますが、違う場所なので注意してくださいね!
【過去に発生した火山の噴火⑤】1707年 富士山

江戸時代中期、宝永4年に噴火したことから「宝永大噴火」とも呼ばれています。現在に至るまでの中で、いちばん新しい富士山の噴火となります。
富士山噴火49日前。南海トラフを震源とする推定マグニチュード8を超える巨大地震が発生しました。巨大地震の余震が続く中、富士山の山麓では火山活動による群発地震が発生します。
そして1707年12月16日、ついに富士山が噴火しました。この噴火により、100km離れた江戸にも火山灰が降り注いだとされています。
火山の噴火による人的被害は記録されていませんが、家屋や農作物等に甚大な被害をもたらしたことにより、多数の餓死者を出す二次災害が発生しました。
【過去に発生した火山の噴火⑥】1815年 タンボラ山

インドネシアに位置するタンボラ山で発生した噴火で、過去2世紀に記録された中では世界最大規模の噴火となります。VEI(火山爆破指数)は7!
火山の爆発規模を示す数値です。噴出物の量によって決まり、0~8で表されます。数値が大きいほど噴出物の量が多いとされています。
宝永大噴火はVEI=5とされており、VEI=7はその100倍もの規模となります!
この噴火は世界の気候に影響を与えるほどであり、アメリカ北東部では異常低温、イギリスでは長期間に渡り雨が降り続いたとされています。この気候の変化により、作物の不作、食料不足、疫病の蔓延が起きました。
噴火による犠牲者は約1万人にのぼり、その後の飢餓や疫病を含めると7~12万人といわれています。
噴火の影響は翌1816年にもあらわれ、昼は真夏日、夜は氷点下といった異常気象や、6月にもかかわらず吹雪に見舞われるなど、「夏のない年」として世界各地で混乱が起きました。何故か日本は影響を受けなかったそうです・・・。
【過去に発生した火山の噴火⑦】1991年 ピナトゥボ山

フィリピンに位置する20世紀最大の噴火とされるピナトゥボ山の噴火です。VEI=6。噴火の予測に成功し、周辺地域から数万人を避難させることにより多くの命が救われました。
ですが、火砕流や火山灰、火山泥流の発生により死者800名を超える被害となります。とはいえ、噴火の規模からすれば人的被害は少なかったのではないでしょうか。避難が間に合わなかったら大惨事となっていたことでしょう。
4月2日から始まった噴火は6月15日に絶頂をむかえます。ピナトゥボ山から20kmほどの距離に位置するアメリカ軍クラーク空軍基地では、13時に発生した強い空振を伴う巨大地震により地震計は針を振り切り、15時までにはすべての地震計が計測不能に陥りました。
噴火の際に噴出した火山灰は高度40kmにまで達し、降灰はベトナム、カンボジア、マレーシアにまで及んだとされています。
また、この噴火は成層圏へも影響を及ぼし、オゾン層の破壊率が大幅に上がりました。ちなみに、クラーク空軍基地はこの噴火により使用不可となり撤退したのは秘密ですよ!
【過去に発生した火山の噴火⑧】1883年 クラカタウ

インドネシアに位置するクラカタウの噴火です。この噴火によりクラカタウは消滅、現在では新たな噴火で形成された「アナック・クラカタウ(クラカタウの子供)」と呼ばれる島になっています。
爆発の規模が凄まじく、約4700km離れたロドリゲス島にまで爆発音が届いたとされています。クラカタウとロドリゲス島の位置を示した地図を見てもらえると、規模の凄まじさがわかります。ちなみに、パプアニューギニアでも爆発音が聞こえたという報告がありました。
噴火の際に生じた衝撃波は地球を7周したとされ、噴煙は高度70~80kmにまで達し、微細な火山灰は地球を1周するという桁外れな噴火だったそうです。
一連の噴火により、約3万6000人もの犠牲者がでました。大半は、噴火によるものではなく噴火によって発生した津波によるものです。
この噴火には面白い逸話があり、噴火によって異様な色の夕焼けが観測されたことから、世界的に有名な絵画「ムンクの『叫び』」はこの夕焼けがヒントになったのではないか?という説が生まれました。
クラカタウの噴火は1883年、ムンクが『叫び』を制作したのは1893年なので、時期的には一致していますね。描いた本人は亡くなっているので真相は闇の中ですが、こういった分野にまで影響を与えたと思うと、非常に興味深いです。
【地球史上最大の火山の噴火】オントンジャワ海台

1億2000万年~1億2500万年前に発生した噴火により海底に形成されたのがオントンジャワ海台です。地球史上最大の火山の噴火とされており、吹き出した溶岩だけで地球の面積1%を覆うほどの量だったそうです。
その大きさは日本の国土の約14倍もの面積なのですから驚きです。さすが地球レベルの噴火ですね!もちろんVEI=8というオマケ付きです。
この噴火で発生したガスにより地球は温暖化となります。温暖化により北極・南極といった「極域」の氷が溶けてしまい、冷たい水が海底に流れることによって起こる海洋大循環を止めてしまいます。
酸素を多く含んだ海水は海底まで循環しなくなるので、海底は酸素不足となります。その結果、生物の大量絶滅が起きたわけですね。
これは「海洋無酸素事変」と呼ばれ、白亜紀に起きた恐竜の絶滅に匹敵するほどのイベントとなります。
極域の氷が溶けてしまうほどですから、相当な気温の上昇となったのでしょう。たった一度の噴火で地球の環境を変えてしまうほどの災害には出くわしたくありませんね。
【スーパーボルケーノ】イエローストーンの超巨大噴火

スーパーボルケーノ(超巨大火山)が破局噴火(壊滅的な噴火)したらどうなるか!?現在、スーパーボルケーノの噴火が予想されているのは、アメリカに位置するイエローストーンと呼ばれる火山地帯です。国立公園になっていますね。
このイエローストーンが破局噴火した場合、3~4日以内にヨーロッパ大陸では大量の火山灰が降りそそぎ、火山から半径1000km以内に住む90%の人は火山灰により窒息死、地球の気温は10℃下がるだろうと予測している人もいます。
また、噴火による影響で気温の低下や食物の不足により飢餓が発生。地球上で50億人もの死者がでると予想する人もいます。いずれにせよ、人類にとって存続の危機となる災害となることが予想されます。
こんな話を聞くと、いつ噴火するのか心配になってしまいますよね。数千~数万年の間とされています。天文学的な数値ですね・・・。さんざん不安を煽っておいてすいません!!
なぜこんな話がでたのかというと、イエローストーンは60~70万年の周期で噴火をしています。前回の噴火から60万年経過していることから、このような話題がでてきたのです。
ちなみに、「2012」という映画でイエローストーンが噴火したシーンがあるので、興味のある方はぜひ!
【過去から学ぶ】火山の噴火に備えた対策を
これまでの噴火を振り返ってみると、噴石・火砕流等で犠牲になった場合は、情報の伝達不足、火山の噴火に対する認識不足が主な原因ではないでしょうか。また、避難に成功しても噴火により発生した津波により犠牲となるケースもありましたね。
活火山が周辺にあるような地域の方は、火山の噴火による被害はどんなものがあるか知る必要があります。知ることにより対策を立てやすくなりますからね。
最近では、SNSやインターネットの普及により、噴火の様子を動画や写真に収める方が増えてきています。実際の状況を知るための重要な情報となるのはわかりますが、避難が遅れてしまうのも事実です。
実際、逃げ遅れて犠牲になった方もいます。ですので、最優先は避難することに重点を置きましょう。数秒の差が命取りとなるのが火山災害です。
また、火山災害により食料等の物資の不足が起きる二次災害も発生することでしょう。ですので、災害に対する備蓄も大切になってきます。
その時になってからでは間に合いません。災害が発生しても落ち着いて対処できるようにするための備蓄なので、日常から備蓄を始めることを強く勧めます。
まとめ
災害対策をするうえで、過去を振り返ることは重要な事です。なぜなら、実際に経験をしなくても災害の状況を知ることができるからです。何も知らない状況では対策の練りようがないですからね。
火山災害における被害を振り返ってみると、現在に近いほど噴石や火砕流等の被害が大きい傾向があります。その原因は、SNSやインターネットの普及による「撮影」ではないでしょうか。
そして、現在から離れるほど犠牲となる要因は津波や飢餓といった二次災害が多いのが特徴です。ここから時代による被害の特徴が見てとれますね。
この特徴を踏まえて出来る対策は、避難に集中することではないでしょうか。また、情報の収集が容易になった時代でもあるので、情報収集も重要になります。
何が一番重要なのか、撮影じゃなくて命ですよね。あなただけでなく、家族の命を守るためにも、火山の噴火への対策を始めてみてはいかがでしょうか。
